まずシラバス活用の前提として重要なポイントを考えてみよう。事例校に共通する点を見てみると、生徒、保護者の気質変化など学校を取り巻く環境の変化に対応するための方策の一つとして、シラバスを活用していることが分かる。従来の取り組みだけではその変化に対応できなくなり、各学校の実情に応じたシラバスの工夫と実践がなされるようになったわけだ。環境変化による学校の課題は、主に次の3点が挙げられた。
・教員の異動サイクルの早期化や学校週5日制等の要因による多忙化により、教員の目線合わせやノウハウ共有に苦労するようになった。
・自学自習の習慣が身に付いてない生徒が増え、学習方法の提示や学習への動機づけの必要性がこれまで以上に高まった。
・少子化などの影響で高校生の子供との接し方が分からない保護者が増え、学校行事や指導方針について保護者の理解が得られにくくなった。
事例校では、このような課題を解決するための手段としてシラバスを捉え、学校としてシラバス活用の必然性が生まれているのである。
また、シラバス作成時のみならず活用の場面において、主任クラスの先生方が音頭をとり、シラバス活用を推進している点も見逃せない。シラバスを効果的に活用していくためには、学校の課題をシラバスにうまくブレイクダウンし、それを全教員で目線合わせする必要がある。そのためには、リーダーシップを発揮できるシラバス管理者の存在が重要であると言えよう。
以上から考えるとシラバス活用の前提として押さえておきたいポイントは次の2点である。
(1)学校の課題をシラバスを活用することで解決しようと考えること
(2)問題意識や危機意識を持った主任クラスの先生をシラバス活用の推進役としていくこと
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