ベネッセ教育総合研究所
大学改革の行方 大学授業改善の実相を追う
鈴木敏男
福井大工学部教授・共通教育センター長
鈴木敏男
Suzuki Toshio
1944年山形県生まれ。東北大大学院理学研究科原子核理学専攻修了。京都大助手、愛知県立大助教授等を経て現職。主な研究テーマは「原子核の構造」「マイクロクラスターの構造」など。
山根清志
福井大教育地域科学部教授・共通教育副センター長
山根清志
Yamane Kiyoshi
1948年島根県生まれ。一橋大大学院社会学研究科博士後期課程単位修得満期退学。一橋大助手、福井大助教授等を経て現職。専攻は歴史学(東洋史)。主な研究テーマは「中国古代の身分制」など。
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事例1 福井大学
教養教育の充実を図るカリキュラム整備

新たな教養教育が模索される中、いち早く改革に着手
 福井大は教育地域科学部、工学部、医学部(03年10月に福井医科大と統合)の3学部を持つ国立大学法人。福井大では99年度に、いち早く共通教育センターを立ち上げて教養教育改革を進めており、その活動内容については03年度公表の大学評価・学位授与機構の教養教育に関する全学テーマ別評価でも全国の国立大の中で高い評価を得ている。「共通教育センター」は、共通教育に関する調査研究、企画立案、実施、評価、教員のFD活動までを担う組織だ。センター長の鈴木敏男教授は、共通教育センター設置の背景について、次のように述べる。
  「大学設置基準の大綱化以降、教養部を廃止した多くの大学が、教養教育の形骸化に危機感を抱き始めていました。そんな中、98年の大学審議会答申(※5)において教養教育の必要性が強調され、全国的にその議論が深まり、本学においても教養教育を改めて見直す気運が高まったのです」
※5 98年の大学審議会答申「21世紀の大学像と今後の改革方策について」では、学部教育の再構築を主要な改革方策の一つに掲げている。
  もっとも福井大では、大綱化以前より教育学部(現・教育地域科学部)が教養教育を担っており、大綱化以降も教養部の廃止により教養教育を形骸化させることはなかった。そのため、早い段階から改革に着手し、教養教育の強化を図ることができたのである。

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