ベネッセ教育総合研究所
指導変革の軌跡 岐阜県立武義高校「意識改革」
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普通科と商業科が切磋琢磨し合う
 更に生徒に刺激を与えたのは商業科(定員80名)の頑張りだ。
  全国の商業科では、8種目ある資格の中の3種目以上で1級を取ると全国商業高等学校協会から表彰されるが、03年度卒業生は3種目以上の1級取得率5割超、取得率で全国ベスト10に入る成績だった。ところが、取得率の順位はランキングとして発表されないため、「商業科一覧」のデータを精査して比較検討しない限り表には表れない。
  「一覧」をひもといて各校の取得率を算出し、この結果を知った纐纈校長は、早速、普通科を含む全生徒に発表した。「先輩があれだけ頑張ったんだから、君たちも頑張れるはずだ」。
  生徒が奮起したのは言うまでもない。特に商業科の生徒は先輩の結果に自信を得て、04年末時点で既に3種目以上の1級取得者は全体の8割を超え、全国ベスト5入りも夢ではなくなってきたという。更に商業科の頑張りに刺激されて、普通科でも変化が表れてきた。井之口先生はこれを「活性化の相乗効果」と呼ぶ。
  「普通科の生徒たちは商業科の頑張りを『彼らがあれほど頑張っているのだから』という風に積極的に受け止めたはずです。本校には異なる進路を目指す普通科と商業科が切磋琢磨し合う風土があります。文化祭で全クラスで実施する演劇や、体育祭の応援など、行事を通してお互いを認め合い、かつ競い合うのです」
  この「活性化の相乗効果」は、武義高校最大の課題である自宅学習の増加となって表れつつある。「商業科は資格を取るために1日2時間も勉強している」ということを聞いて、1時間、1.5時間と、普通科の生徒の中でも自宅学習により熱心に取り組む生徒が増え始めているという。


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