ベネッセ教育総合研究所
大学改革の行方 教員養成改革の方向性
横須賀薫
宮城教育大学長
横須賀薫
Yokosuka Kaoru
1937年神奈川県生まれ。東京大大学院教育学研究科博士課程単位取得退学。宮城教育大助教授、同大教授を経て現職。主な著書は『教師養成教育の探求』(評論社)、『授業の深さをつくるもの』(教育出版)など。
岩田康之
東京学芸大教員養成カリキュラム開発研究センター助教授
岩田康之
Iwata Yasuyuki
1963年東京都生まれ。東京大大学院教育学研究科博士課程単位取得退学。杉野女子大(現・杉野服飾大)講師等を経て現職。現在、日本教師教育学会事務局長、国立大学協会専門委員等を兼務。
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大学改革の行方

教員養成改革の方向性

教員養成系大学・学部の改革議論が激しさを増している。教員養成課程の定員削減、教員養成系大学の統廃合問題に続き、近年では教員免許更新制の導入、教員養成における専門職大学院の設置構想が打ち出され、日本の教員養成システムは大きな転換点に差しかかっているようだ。教員養成系大学・学部が、今後どのように変わっていくのかを予測する。
図
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Chapter 1
教員養成課程を巡る政策の動きと課題
少子化で崩れる教員の需給バランス
 戦後、日本の教員養成系大学・学部は、開放制(教職の課程認定を受けた大学で一定の単位を習得すれば教員免許状が取得できる制度)の原則の下、教員養成を主目的とする(目的養成)国立大の教員養成系大学・学部と、教職の課程認定を受けた私立大を中心とする一般大学が、教員養成の両輪を担ってきた。前者は小学校教員を、後者は中高の教員を主に養成するという棲み分けもある程度できており、教員の需給バランスは適度に保たれてきた。
  ところが、90年代に入ってから、この均衡が一気に崩れ始める。少子化と93年に定められた学級定数40名の固定化の影響により、教員採用率が低下の一途をたどり始めたのだ。そのため文部省(当時)は、国立大の教員養成課程の定員削減に乗り出し、86年に約2万人だった入学定員を、97年には約1万5千人に縮小、更に98~00年には5千人が削減され、04年度現在で9730名とした(※1)。
※1 87~97年には、主に教員養成課程から新課程や大学院への振り替えなどにより、教員養成課程の定員が約5千人削減されたが、教育学部全体としての定員が急激に削減されたということではなかった。この背景には、ちょうど第二次ベビーブーム世代の大学進学期であったという事情もある。

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