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小学校教員の半数が一般大学卒という実情 |
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一方、このような教員需給に絡んで生じたひずみと共に、以前から議論の対象となってきた構造的な問題もある。図1によると03年度の公立学校の教員採用者数に占める教員養成系大学・学部卒業者数は小学校52・8%、中学校35.6%、高校13.9%と、教員養成系大学・学部出身者の比率は意外なほど低い。理学部や文学部など、一般大学出身者は特定の学問分野について深く学んでいる強みはあるが、教育(特に教職)に関する専門的な分野については教員養成系大学・学部出身者の方がより深く学んでいる。いじめや不登校、学級崩壊などへの対応、生きる力の育成などの現代的な教育問題に対処するためには、教科の力はもとより、教職を含む幅広い教育力を身に付けた人材が求められている。各教科の専門性が高い中学校や高校において教科指導力が重要なのは当然だが、小学校において半数近くが一般大学卒業者で占められているのが現状なのだ。 |
▼図1 公立学校教員の採用者内訳(03年度)
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一方で、教員養成系大学・学部においても、必ずしも教職専門科目が重視されてきたわけではない。前述のように教員の意識は専門を志向する傾向にあり、近年でこそカリキュラムにおける教職専門科目の比重は増えているが、80年代までは圧倒的に教科専門科目が多かった。「教員を養成する大学側に、教科を教えておけば良い教師が生まれるという意識があった」と、横須賀学長は指摘する。今こそ、高度な教育力を有した教員を養成する機能が、教員養成系大学・学部には求められているのである。 |
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