山形県立米沢東高校
中沢秀隆
Nakazawa Hidetaka
教職歴19年目。米沢東高校に赴任して6年目。数学担当。3年担任。進路指導課。
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現状を打開するヒントとノウハウ ナレッジの継承(8)
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2年生3学期の意識を高める
何かと多忙で生徒に手がかけられない3学期。特に2年生の3学期は、受験を1年前に控えた大事な時期だ。3年生の初めからエンジン全開にするには、この時期から受験に対する生徒の意識を高めていくことが肝心。2年生にセンター試験を受けさせる取り組みは珍しくないが、中沢先生の提案した「センターチャレンジ」はひと味違う。
センターチャレンジで2年生3学期から意識を高める
2年生3学期と言えば、明確な進路目標を持っていない生徒にとっては、受験への意識が高まりにくい時期だ。一方、教師側は高校入試や3年生の受験指導、反省職員会など進路・教務関連の行事が目白押し。大事な時期とは思いつつ、生徒に手をかけられない教師も多いのではないだろうか。
こんなジレンマを解決するべく、山形県立米沢東高校の中沢秀隆先生が提案したのが「センターチャレンジ」である。その年のセンター試験をすべての2年生に受けさせることで、受験に対する意識を高め、緊張感を持続させることが目的だ。
「多忙な時期なので、面談や補習などの直接的な指導をするにも限界があります。せめて意識だけでも持続させる工夫をと考えたとき、時期的にもセンター試験が一番リアルに生徒に訴えるのではないかと思いました。また、本校の生徒は一学年240名中、150名が国公立大志望ですが、実際の合格者はその3割程度。生徒たちの進路実現のためにも、この時期をどのように過ごさせるかが重要になると思います」(中沢先生)
「センターチャレンジ」の特徴は、生徒が自ら考え、動けるようにしているところにある。試験後に配付するオリジナルの「生徒個票」(
図
)が、そのための最大のツールだ。自己採点によって出した各科目の得点や全国平均点との差はもちろん、志望校合格に必要なボーダーラインは何点なのかを自分で調べ、「弱点教科は何か」「その対策は何か」まで考えさせる書式になっている。
▼図 第1回センターチャレンジ生徒個票
▲クリックすると拡大します
すべて生徒が自分で調べ、考えさせているため、教師の作業は試験問題のコピーや個票のチェック程度。担任は回収した個票すべてに目を通すが、チェックするのはセンター試験の配点についてきちんと理解しているか、本番での目標得点と志望校のボーダーラインが噛み合っているかといった試験のシステムや配点に関する部分だけだ。具体的な学習アドバイスなどの細かな指示までは出さないので、それほど時間を取ることもない。あくまで受験に対する意識を高めることが目的なのだ。
「試験の出来不出来は問題にしませんでした。できた生徒には自信になるでしょうし、できなかった生徒には、『あと1年ある』と励ますこともできます。いかに生徒に刺激を与え、意識を揺さぶるかが大切なんです」(中沢先生)
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