3 生徒の英語使用に対する自己評価(CAN-DO)調査 |
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本調査では、03年度に引き続き、生徒の英語使用に対する自己評価を測る「CAN-DO調査」も併せて実施した。これは、英語のテストで△点を得点したという結果だけでは、その得点がどんな英語力を意味しているのかは分かりにくいため、GTECと併せて、「英語を使って何をどの程度できるのか(CAN-DO)」を調査したものである。英語による言語活動の内容及びその態度を、(1)「学校・教室内で英語を使う場面や活動」、(2)「学校外の日常生活で英語を使う場面や活動」、(3)「日本国外(英語圏)で英語を使う場面や活動」という3つの観点から生徒に自己評価形式で尋ねている。
03年度の調査では、日本の高校生の特徴として、自分自身の英語使用に対する自己評価が低い(自信が持てない)ことが明らかになった。その傾向は今回の調査でも同様であり、図6のデータにその一端を見ることができる。 |
▼図6 生徒の英語使用能力自己評価(CAN-DO)調査
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図6では、横軸をGTECのグレード(G6が最高値)、縦軸を回答率としている。GTECのグレードが高くなるに連れて「できる」と回答する割合が増えてくるが、ここで注目したいのは、「できる」「できない」の回答率が逆転するポイントである。グラフを見ると、韓国はグレード2と3の間、中国はグレード3と4の間でグラフが逆転している。これに対し、日本の高校生は、グレード4でようやくグラフが逆転する。韓国や中国の高校生に比べ、日本の高校生が自己の能力を過小評価し「できない」と思う傾向が読みとれる。
では、こうした背景には何があるのだろうか。もちろん、教科書の難易度や教授法の問題もあるだろうが、大きな要因の一つとして、日本の高校生の英語使用経験の少なさが考えられる。図7は3か国の高校生の英語使用経験に関する調査結果であるが、日本の高校生は韓国・中国の高校生に比べて教室外で英語を使った経験が圧倒的に少ないことが分かる。 |
▼図7 教室外での英語を使った活動
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英語使用に対する自信のなさは03年度も同様の結果だったが、「英語を使う機会が増えるほど英語使用の自信はつく」(上智大学・吉田研作教授)はずである。学校内外での英語使用場面をいかに設けていくかが、日本における指導上の課題の一つであろう。 |