一口に文武両道と言っても、その在り方は学校特性によって多様なはずだ。両立の難しいものに挑戦させること自体に、教育効果を見いだすビジョンもあるだろうし、1、2年次の部活動で養った集中力を、3年次の受験勉強の質的向上につなげていく…といったビジョンもあり得るだろう。
だが、こうしたビジョンの統一は、意識的に「言語化」しなければなかなか達成できるものではない。「文武両道」という理念の普遍性ゆえに、人によってその解釈も多様であるからだ。
この面で参考になるのは、後出の広島県立祇園北高校の事例である。同校では、「武からの学力向上」を目指すべく「文武一貫」の理念に基づいた指導を展開しているが、そうした理念を共有するために、部活動顧問全員が出席する「顧問会議」を定期的に実施している。また、下に示したようなプリントを用いて、「文武一貫」とはどういう理念なのかを、視覚的に分かりやすく共有する工夫も行われている。こうした「言語化」の努力があるからこそ、そのために必要な部活動の活動メニュー、あるいは、部活動で培った力を学習に生かすための授業改善の工夫も可能になるわけだ。
空文句のように「文武両道」を唱えるのではなく、その内実を具体的化することが求められている。
|