05年度で創立23年目を迎える広島県立祇園北高校は、毎年100名を超える国公立大合格者が輩出する、地域を代表する公立進学校である。広島県の「進学指導重点校」でもある祇園北高校は、ここ数年、土曜補習や学習合宿、生徒の進路観育成などに積極的に取り組んできた。私立高校の台頭、総合選抜制度の廃止といった厳しい情勢の中で実績を上げ続けているのは、そうした「文」の面での努力があればこそである。
だが、忘れてはならないのは、祇園北高校が創立以来一貫して「文武両道」を校是としてきたことだ。特に、運動部の活躍は目覚ましく、インターハイに出場した陸上部、県大会の上位常連の野球部、バレーボール部などは、広島県内でも強豪との評判が高い。陸上部顧問で進路指導部長の松崎親男先生は、そんな祇園北高校の「文武両道」観を次のように語る。
「『文武両道』と言うと、学習と部活という全く異質なものを、苦労して両立させること、と考えられがちですが、本校ではそうした捉え方をしていません。むしろ、部活と学習を不可分なものとして捉え、『部活があるからこそ勉強にも打ち込める』『勉強で成果を上げるためには部活が必要である』という考え方こそ、『文武両道』の本質ではないかと考えています。一人ひとりの生徒がそう信じて学校生活に打ち込めるようにすることが、本校の指導の根幹です」
03年度に赴任した金岡俊信校長は、こうした伝統を更に発展させることに、今後の祇園北高校が進むべき方向を見据えている。
「精神論ではない、実践論としての文武両道を確立することは、今後の公立高校の生き残りを考える上で重要な視点だと思います。そこで、03年度に学校経営計画を作成する際に、本校は根本理念として『文武一貫』というテーマを掲げました。文武両道を更に一歩進め、学習と部活の一体化を図ろうというわけです。カリキュラムや指導プランの改善はもちろん、個々の教科や部活においても、指導の改善に向けて取り組んでいるところです」
「学習と部活の一体化」を図るべく、祇園北高校はどのような取り組みを行っているのだろうか。以下でそのポイントを整理してみよう。
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