「生徒に外部テストを受けさせても今ひとつ学習へ向かうようにならない」「個票が返ってきても、弱点補強にうまく生かすことができない」―。せっかく外部テストを受験しても、生徒がこんな様子では、その効果は半減だ。啓光学園中学校・高校の笠松先生は、そんな状況に課題を感じる教師の一人である。
「テストの個票が返ってきても、うまく活用できない生徒が本校でも増えています。本当は弱点分野の補強や、学習方法の見直しに使ってほしいのですが、普通に返却するだけでは、ほとんどの生徒が得点や偏差値を『見ただけ』で終わってしまいます。そこで私たちの学年では、個票の返却時にある工夫を加えることで、配りっ放しを防ごうとしています」
工夫したポイントの一つ目は、個票を、必ずホームルームの時間を使って返却することだ。その際、担任が学年全体の得点傾向や弱点を講評するのはもちろん、生徒自身にテストの結果を自己反省させる時間を設けている。
「このときに重視するのは、生徒が実際に手を動かして作業できる要素を採り入れることです。『学習時間』『弱点分野の対策』『今後の目標』といった欄を設けた反省用のプリントを配付して、生徒に記入させているんです。そうすることで、自分の学習スタイルを客観的に見つめ直すことができますよね」
工夫の二つ目は、生徒が書き込んだ反省用のプリントと個票を、一度担任が回収し、1週間以内に、個別面談を通じて返却することである。
「生徒の自己反省、そして、教師の目を通した反省、と2回機会をつくることで、データの見方やその生かし方について、生徒がより深く知ることができます。また、個票を見ると、どうしても生徒は悪いところばかりに目がいきがちなので、教師はできるだけ生徒の良かったところを見つけるよう意識しています。例えば、時間は短くても毎日学習を続けているような生徒には『この調子で学習時間を増やしていくことができれば、きっと成績は伸びるぞ』といった具合にアドバイスを与えます。保護者の方も、ともすれば生徒の悪いところばかりを見てしまいがちなので、この視点は大切にしています」
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