さて、このような取り組みは、実は笠松先生一人だけが行っているわけではない。啓光学園中学・高校では学年団の教師全員が歩調を合わせて、同じ手法を実践しているのだ。その鍵を握るのが、下に示したような指導案である。
「実際の個票を例に、具体的な着目点やアドバイスの方向性を記入したフォームを用意し、学年団で事前に共有します。また、このフォームは、前年度の指導実績を基に作っているので、その過程でベテラン教師の指導の観点を学ぶこともできます。言わば、年度を越えて運用することで、『学校のノウハウ』が詰まった指導案ができるわけなんですね」
実際、こうしたスタイルで指導が行われるようになってから、テストの結果を積極的に活用して学習姿勢を改善する生徒も見られるようになった。また、指導案の作成・共有を通じて、教師のスキルアップの面でも効果が現れ始めている。
「配って終わり」になりがちな個票も、使い方によっては生徒、教師の実力の向上に大きな成果をもたらすのだ。
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