特集 入試改革を読み解く
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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【まとめ】

個性化する各大学の動向を見極めた進路指導を

入試改革の動向は難易度の影響が大

 以上、弊社「高大接続に関する調査」の分析結果と個別大学の事例から、国公立大の入試改革の現状と方向性を見てきた。最後に、07年度以降の国公立大の入試改革について、大学の入試難易度別の観点から、その検討状況の特徴と今後の留意点を整理しておきたい(下図)。
  難関大では、分離分割の方針について「現状維持」が少なく、「後期廃止」が圧倒的に多い。これは、難関大ほど入試業務の負荷を軽減したく、前期日程への定員シフトで効率的な競争入試を展開したい意向が働くためだ(事実、難関大では入試改革の方針決定が早く、「議論していない」という回答は皆無であった)。
  ブロック大では、「既に決定」と「議論していない」に二極化している。合わせて、入試改革の方針を見ると、「受験者数の確保」と「他大学の動向を踏まえて」が多い。これは、ブロック大では、難関大や他大学との併願関係を踏まえて、志願者獲得の戦略を見極めたいという志向が強いためである。そのため、現時点で入試改革の方針を決め兼ねている大学が相当数存在しており、今後の動向を注視する必要があるだろう。
  地方大では、「現状維持」が多く、推薦・AO入試の拡充を検討する国公立大が多い。また、学部数が少ない大学の中には、「後期の割合を増やす」方向で検討している大学もあり、今後の方針決定に注目しておきたい。


図

次号で「高大連携」を 改めて特集

 このような入試改革の進展に伴い、多くの国公立大ではセンター試験と個別学力試験で問う学力要件を見直す動きも盛んだ。大学が、育成したい人材要件、入学生の気質変化などに合わせて、どのように入試を変革していくのか。また、それが高校教育にどのような影響を与えるのかを見直す必要がある。
  本誌では、こうした入試の変革期には、一層「高大連携」の観点が重要になっていくと考える。昨今の大学入試改革では、高校側や生徒(学生)に立脚した議論が、どこか欠けている部分があると思われるからだ。そこで、次号では、入試改革の観点も含めて、本質的な高大連携の在り方を考察していきたい。



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