以上、弊社「高大接続に関する調査」の分析結果と個別大学の事例から、国公立大の入試改革の現状と方向性を見てきた。最後に、07年度以降の国公立大の入試改革について、大学の入試難易度別の観点から、その検討状況の特徴と今後の留意点を整理しておきたい(下図)。
難関大では、分離分割の方針について「現状維持」が少なく、「後期廃止」が圧倒的に多い。これは、難関大ほど入試業務の負荷を軽減したく、前期日程への定員シフトで効率的な競争入試を展開したい意向が働くためだ(事実、難関大では入試改革の方針決定が早く、「議論していない」という回答は皆無であった)。
ブロック大では、「既に決定」と「議論していない」に二極化している。合わせて、入試改革の方針を見ると、「受験者数の確保」と「他大学の動向を踏まえて」が多い。これは、ブロック大では、難関大や他大学との併願関係を踏まえて、志願者獲得の戦略を見極めたいという志向が強いためである。そのため、現時点で入試改革の方針を決め兼ねている大学が相当数存在しており、今後の動向を注視する必要があるだろう。
地方大では、「現状維持」が多く、推薦・AO入試の拡充を検討する国公立大が多い。また、学部数が少ない大学の中には、「後期の割合を増やす」方向で検討している大学もあり、今後の方針決定に注目しておきたい。
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