VIEW'S REPORT 学習計画・学習記録で自学自習力を付ける

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
  PAGE 4/11 前ページ  次ページ

目標設定で教師間のコンセンサスを取る

 もう一つ、小林高校の家庭学習定着の取り組みを特徴付ける大きな要素がある。それは、事前に設定している家庭学習の目標時間の長さだ。小林高校では長い間、週37時間を目標として週プランの策定を生徒に課してきた。これは、毎日5時間勉強しても達しない数字であり、達成するには相当の努力が必要になる。毎年、教師の異動がある度に「目標時間を少なくした方がいいのではないか」という議論が重ねられてきたのも当然と言えるだろう。しかし、すべての生徒が達成できなかったとしても、小林高校では当面、この目標時間を少なくするつもりはないという。
  「誰でも達成できる目標にすべきではないかという意見が、毎年出されるのは事実です。しかし、たとえ37時間に達しなかったとしても、その目標がある限り、生徒はそこに近づこうと努力しますし、目標時間を下げてしまうと、決してそれ以上にはならないんです」(山崎先生)
  小林高校では定期的に学力検討会を実施して、学習時間の推移をチェックし、教師間で共有している。05年度初めに3年生を対象とした調査では、学年平均は35時間であり、すべての生徒が目標時間を達成しているわけではない。また、個々のクラスを比較しても39~31時間と、クラス間の差も大きい。37時間というのはあくまで目標時間であり、目標達成に向けての担任の指導は様々であるが、「厳しく目標を守らせる」ことが大切だという。
  「厳しく目標を守らせようとすると、実績を水増しして書いてくる生徒もいるのではないかという疑問も湧いてくるかと思います。しかし、学力検討会で成績と学習時間の相関について調べてみると、必ずと言っていいほど、学習時間が多いクラスは成績が上がります。多少、生徒が学習時間を水増しして記入していたとしても、目標時間を強く意識し、それに近づこうと努力を続けた結果が成績に表れているのだと思います」(山崎先生)
  こうした目線合わせがあるからこそ、37時間という高い目標設定に対しても、教師間のコンセンサスが取れているのである。


  PAGE 4/11 前ページ 次ページ