では、そうした議論を深めていくためには何が必要なのか。おそらく最も重視すべきは、育成すべき人材要件について、高大が共通の青写真を描くことであろう。
以下に示したのは、内閣府主宰の「人間力戦略研究会」で話し合われた「人間力形成モデル」である。今後の社会で求められる「人間力」を「基礎学習能力」「対人関係能力」「自己コントロール力」の3要素から成り立つものと捉えた上で、各要素の育成に向けて、学校教育がどのような役割を持つべきかを定義したものだ。このようなモデルは、高大連携の意味を、「学びの接続」から考える一つの視点となるのではないだろうか。
もちろんここに示したモデルは一例であり、地域特性や参加する学校の事情等によって、目標とする人材要件は当然異なってくるはずだ。しかし、高大連携を本質から捉えるには、このような大きなビジョンの共有が必要であることに変わりはない。従来、「高大が人材要件について話し合う」と言っても「入試時点での学力要件」を指すことが一般的であった。だが、今後はそれだけでは立ち行くまい。大学側が高校を知る努力をするのはもちろん、高校側も、大学に送った生徒がその後どのようなキャリアを歩んだのか、追跡する視点も持ちたい。
本質的な高大連携に向けた議論が深まることを願っている。
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