4年制大のもう一つの特徴は、大学院教育への道が開けているという点である。看護系学部・学科を目指す学生の多くは、看護実践者を目指す場合が多く、大学院にはあまり目が向けられていない。しかし、今後は学部卒業後、看護師として一定のキャリアを積んだ人材が大学院に進学し、実践を踏まえた高度な研究を行うことも期待されている。
「看護学は実践主体の学問であり歴史も浅いため、理論体系の確立はまだこれからという状態です。そのため、意欲の高い学生の中には、学問としての未成熟な部分に物足りなさを感じ、モチベーションを低下させる学生も少なくありません。今後は、大学院に進学する学生を増やし、看護学の学問体系の確立やケアに関する専門的技術の向上に貢献できる人材を育てていきたいと考えています」(石垣教授)
大学院を目指す者には、看護学の発展そのものに貢献できる可能性が広がっているというわけだ。
また一方で、大学院卒の人材には大学・短大の教員として優秀な看護実践者を育成することや、看護管理者として現場で統率力を発揮することも求められている。02年度、千葉大大学院看護学研究科において「看護システム管理学専攻」が設置されたのも、そうした社会的要請に応じたものに他ならない。現職の看護管理者を院生として受け入れ、実践を踏まえた研究を通して高度な看護管理能力を身に付けさせるのである。「優秀な看護師として患者に尽くしたいという気持ちはもちろん大切ですが、更に上のキャリアを目指し、大学院進学を含めた将来像を描いてほしい」と、石垣教授は述べる。
更に、看護系大学が足並みを揃えて「看護専門職大学院」の統一的な在り方を検討する動きも見え始めている(図5)。実務経験者を対象として、少人数教育による講義・演習・調査、双方向的討論により、「がん看護」や「小児看護」「老人看護」などの10領域や、看護管理(経営まで含めた看護管理者としてのスキル)に特化した高度専門職業人を育てるのがその目的だ。
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