加えて、石垣教授は4年制大の特徴として「教養教育の重要性」も指摘する。
「現在、どの看護系学部・学科でも力を入れているのが教養教育です。本学でも、看護専門職に不可欠な深い人間理解につながる力はもちろん、広い視野を持つ判断能力、そしてこれらの学習を支える基礎学力の育成のために、『普遍教育科目』を設置しています。病院に訪れる患者は、社会的立場も人生経験も様々。患者の立場に立った看護を行うには、看護の知識・技術だけではなく、患者の気持ちに立ってケアをする心構えや、どんな患者とでも普通に会話ができる教養が必要なんです。また、本学は総合大学であるため、他学部の学生と接することができるのも、学生にとってはプラスになると思います。様々な視点や異なる人生観に触れることも、後の看護活動に大きな力になるんです」
短大や養成所では3年間で看護師の受験資格を取得できる反面、カリキュラムの多くが看護学の知識・技術を中心に組まれているため、幅広い教養科目まで教授するのは難しい。一方、大学は4年間を使うことができ、総合大学なら他学部の知的資産を含めた教養教育に関する幅広いノウハウもある。
「医師の指示に従って処置をするだけの看護師では、患者の多様なニーズに十分応えることはできません。現在目に見える問題の解決だけでなく、予測される問題にも関わる必要があります。そうしたときに、『なぜ、この看護が必要なのか』『どういう学問的な背景があるのか』といったことまで理解していれば、通り一遍の支援に陥ることなく、状況に応じた適切な支援ができるようになるのです」(石垣教授)
理論に裏打ちされた高度な問題解決能力と、教養教育による豊かな人間性――。4年間の大学教育は、卒業後のキャリアをも左右するのである。
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