大学改革の行方 看護系学部・学科の課題と可能性
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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Chapter 2 4年制大の特徴とキャリアルートの可能性

理論に裏打ちされた実践能力を育成

 看護師の資格を取るには、必ずしも大学を卒業する必要はないのは周知の通りだ。図4は、看護師になるためのキャリアルートを示したものだが、最も多いのが高校卒業後、3年課程(大学は4年間)を経て看護師の受験資格を取得するルート。04年4月段階で、大学・短大・養成所(専門学校等)合わせて674校が設置されており、定員は3万5092名に達する。ただし、そのうち4年制大は122校・就学者数定員8969名と、3年課程の全定員の3割弱にすぎない。定員の割合だけで言えば、専門学校等の養成所がメインルートのようにも見える。それでは、養成所経由で看護師になるのと、4年制大へ進学して看護師になるのとで違いはないのだろうか。

▼図4

図4

  短大・専門学校における看護師養成課程は職業教育としての特性が強く、看護ケアを確実に実践できる人材の育成が主眼だ。つまり、実際の看護の各場面に応じて必要とされる処置を着実にこなすことができる実践家の育成である。一方、大学教育の特色は専門職業教育にある。学問的に裏打ちされた看護実践を行うことのできる人材を育成するのが、大学における看護教育なのである。
  「大卒者に期待されているのは、看護を科学的・理論的に捉えて遂行できる専門職としての看護実践です。複雑化する患者や家族の多様なニーズを的確に捉えたり、看護チームのリーダーとして機能することが求められているのです」(石垣教授)


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