大学改革の行方 看護系学部・学科の課題と可能性

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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学習負荷の軽減を目指しカリキュラムをスリム化

 一方、学習量が過大で自由時間が取れないという点も、看護系学部・学科の学生に共通した悩みだ。看護師の受験資格を取得するためには、3年課程で1000時間以上の臨地実習を含む約2900時間(最低93単位)の膨大な学習・実習時間をこなす必要がある。その上、保健師・助産師の受験資格も合わせて取得しようとすると、更に多くの単位取得が必要になる。そのため、ドロップアウトを考える学生も少数だが存在するという。
  図2は、学部系統別のイメージギャップを調べたものだが、看護系学部・学科を含む「保健系統」の最大の課題は「学習負荷の過大」だ。04年度調査では33.8%と、薬学系統に次ぐ高い数値を示しており、「勉強についていけない」「自由時間が少ない」という不満を持つ学生が多いことが分かる。

▼図2

図2

  このような学習負荷を解消するために、千葉大看護学部では05年度からカリキュラムのスリム化を図った。それまで、各科目の専任教員は自分の担当する科目の指導に力を傾けるあまり、他の科目で教えている内容の詳細までは把握していない場合が多く、そのため、それぞれの科目で重複する内容を扱っていることもあったという。そこで、04年度の1年間ですべての科目で扱っている内容を洗い出し、重複している部分を整理したのである。(図3)  

▼図3

図3


  「私が担当している『訪問看護』は、患者の自宅に出向いて処置を行う方法を学ぶ科目です。そのため、看護の基礎的な内容を一通り扱うのですが、身体観察の方法や清潔ケア、排泄ケアなどベーシックな技術は『基礎看護』の科目でも扱います。そのような重複がある科目については、担当の教員同士が連絡を取り合って、どちらか一方で扱ったり、あるいは分担したりして、学習量の軽減を図ることにしたのです」(石垣教授)
  その結果、04年度までは4年間で127単位だった必修単位数は、05年度には124単位まで減らすことができたという。わずか3単位だが、時間にすると45時間であり、学生の負担軽減をある程度進めることができたと言える。
  以上、学生のミスマッチ解消、モチベーション維持といった看護系学部・学科の諸課題と、課題解決のための取り組みを見てきた。次項では、4年制大に進学し、看護師資格を目指す者にとっての、キャリアルートの可能性を考えてみたい。


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