大学改革の行方 看護系学部・学科の課題と可能性
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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教育の重要性を意識し活発なFD活動を展開

 入学後の教育を充実させることも、学生のやる気を持続させるためには欠かせない大切な要素だ。近年でこそ、大学の多くの学部系統で「教育」の重要性が語られるようになったが、現在でも、特に国立大の多くの教員は研究志向が強い。しかし、看護系学部・学科では、こうした研究志向とは一線を画した「教育重視」の志向を伝統的に持っている。
  看護系学部・学科の「教育重視」の姿勢を端的に物語っているのが、各大学が実施するFD(ファカルティ・ディベロップメント)活動だ。「看護系学部・学科の教員は、学生に質の高い教育を施したいという意識が強いんです。そのため、現在、すべての大学が何らかの形でFD活動を推進しています」と、石垣教授は指摘する。
  学生による授業評価・臨地実習評価、医療勉強会などの研修はもちろん、eラーニングをFDと結び付ける可能性を模索する大学や、「FD通信」としてFDの成果を学外に告知している大学もある。
  また、FDの取り組みは、各大学の個別の活動にとどまらない。全国のすべての看護系国公私立大が加入する日本看護系大学協議会(05年度の会員数125校)では、近年、全大学が参加する「FD活動推進ブロック会議」を実施し、教育・研究に関わる教員の資質向上を図っている。05年度のテーマは「教員の教育能力をどのような面から評価し、それをFD活動として進めていくか」。各大学からは、「看護教員の特徴を明確にした評価の指針が必要」「看護教員の能力開発の体系化には、各大学の特色や建学の理念を考慮しなければならない」といった活発な意見が出された。こうして、「FD活動推進ブロック会議」で得た知見を生かし、各大学は更なる授業改善を行っていくのである。


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