大学改革の行方 看護系学部・学科の課題と可能性
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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入試の改変と学生相談でミスマッチを未然に防ぐ

 学部ミスマッチの最大の予防策は、入り口である入試の段階で、看護に対して高い意識を持った学生を選抜することだ。千葉大看護学部では、幅広い基礎学力を持った学生を求めるために、国立大の他の学部同様、センター試験で5教科7科目を課している。ただ、幅広い基礎学力が身に付いているというだけでは、看護師を目指す者としては不十分だと石垣教授は述べる。
  「我々は、本当に看護を学びたいと思っている学生を入学させたいと考えています。そのため現在、推薦入試と社会人入試で課している面接を、今後は一般入試前期課程にも広げ、できるだけ高い意欲を持つ学生を選抜する方向で検討を進めています」
  06年度入試から後期日程を廃止したのも、そうした流れの一貫だという。
  また、入学後の支援体制の整備も、学部ミスマッチの解消には欠かせない。千葉大看護学部では、「学生相談」の制度を設け、学部全体で学生を支援する体制を整えている。
  「学生は在学中に抱える様々な悩みを解決していく中で成長していきます。本学部では、学生の持つ課題や悩みをできるだけ見逃さないよう、学部の教員全員が学生相談の窓口となり、適正な履修や学生生活ができるようサポートしています」(石垣教授)
  学生相談の流れは以下の通りだ。(1)問題や悩みを持つ学生は、まず最も話しやすい教員に相談する。(2)相談を受けた教員は、学生本人が「クラス顧問」(学生生活支援委員会が各年次2名の教員を推薦。1年間の任期で学生相談の中核的な窓口となる)に直接相談できるよう調整する。(3)「クラス顧問」は学生の相談に応じて履修指導や相談を行う。転学部・退学などのように、学部全体で把握しておいた方がよい事案は、学生生活支援委員会に報告する。(4)学生生活支援委員会は、定期的に委員会を開催し、学部全体で把握しておいた方がよい学生の問題について情報交換を行い、対応を協議する(図1)。

▼図1

図1

  「学生からの相談がなくても、欠席が多いなど気になる学生がいる場合は、教員から声かけをします。クラス顧問にはベテラン教員だけでなく、比較的若い教員も充てられています。経験豊富な教員の口から看護師の将来性や仕事のやりがいが語られたり、若い教員から励ましを受けたりすることによって、目標を見失いかけていた学生がやる気を取り戻すことは多いですね。ただ、最終的には自分で決めた進路に進ませるのが本学の方針です」(石垣教授)
  二重三重の学生支援体制により、全方位的に学生の悩みをキャッチし、よりよい進路の方向性を見いだしていくのである。


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