VIEW'S REPORT 総合学科の現状と今後
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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教育の「成果」がどう評価されるかが課題

 以上のような取り組みが奏効し、福岡魁誠高校に対する地域の評価は大きく変わった。「やりたいことができる学校」として中学生の人気も高まり、今や入試倍率も県下トップクラスとなった。図3に示したのは、福岡魁誠高校の生徒たちに対する意識調査の結果であるが、多くの生徒が、充実した高校生活を送っていることがうかがわれる。

▼図3
図3

  だが、岩崎先生は、そうした成果に必ずしも安心することはできないと指摘する。
  「生徒の自己実現という観点から見れば、確かに本校の教育活動は高い成果を上げていると言えるかも知れません。しかし、こうした価値尺度に対して、社会の理解は必ずしも芳しくありません。例えば、学力が非常に高い生徒が4年制大以外の進路を選んだような場合、中学校の先生の理解を得るのは未だに難しいですよね。更に、進学の面についても、大学の総合学科枠が、実際には専門教科を中心に科目履修した生徒しか受け入れていないなどの課題もあります。そうした状況が改善されたとき、総合学科の成果がはじめて正当に評価されるのではないでしょうか」
  教育活動の質そのものに加え、社会とのギャップをどう解消していくのか。この点もまた、総合学科がこれから向き合っていかねばならない大きな課題のようだ。


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