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生徒のために実験設備・環境を整備 |
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岡山一宮高校の理数科は、2クラス約80名となっているが、「課題研究I」のときには、同じ時間を使って2クラス合同で行われる。ここで他の学校ならネックとなるのが、生徒が活動するための教室の確保なのだが、その点は岡山一宮高校はかなり恵まれた環境にある。
「本校では、理科準備室が他校と比べると随分広く、教室一つ分ぐらいのスペースがあります。またSSHに指定されたのをきっかけとして、顕微鏡やパソコン、専門書などが置かれている『一宮クリエイトスタジオ』を開設しました。理科実験室、理科準備室、一宮クリエイトスタジオなどのこうした様々な教室を利用して、生徒たちは実験や観察に取り組むわけです。また準備室は『課題研究』以外には使用しないので、授業が終わったからといって実験器具を片付ける必要はありません。放課後や昼休みも生徒たちのために準備室を開放しているので、生徒はその気になれば『課題研究』の時間外でも自由に準備室を訪ねて、すぐにでも実験を始めることができます。事実、放課後遅くまで残って研究活動を続けている生徒は多いです」(進藤先生)
更に設備が充実している点も、SSHならではの強み。走査型電子顕微鏡や、遺伝子操作や細菌培養を行うためのクリーンベンチなど、普通科高校ではあまり揃えられていないような実験器具が整備されている。岡山一宮高校では、生徒が自分のテーマを深めるための実験をしたいときに、その思いに応えるためにできる限りの環境を整えているのだ。
一方、教員の配置についてだが、「課題研究I」では、数学科教員とほぼ全員の理科教員で指導に当たっている。1人の先生が1~2の研究テーマを担当し、言わば大学の卒論における指導教官と学生の関わりにも似た少人数指導によって、生徒の活動を支えている。
こうした中で、生徒たちは2年2学期中には研究結果をまとめ、12月下旬に全生徒が発表に関わる分野別発表会を開催。更に優れた研究成果を残したグループは、1月の校内発表会、2月の県内の理数科4校による合同課題研究発表会などで、研究発表の機会を与えられる。
また3学期は、自分たちの研究を論文に仕上げていく期間にも当てられる。この研究論文は、英文付きの要約を載せるなど、実際の学術論文の形式に沿った本格的なものだ。
「『課題研究』を通じて生徒は、仮説を立てて実験をして何度も失敗するといった試行錯誤を繰り返しながら、ようやく答えを導き出すという経験をします。こういった経験は、通常の高校の授業ではなかなか得られない貴重なものです。1年間どっぷりと『課題研究』に取り組むことで、将来研究者や技術者として活躍していく上で必要とされる科学的態度や論理的思考が養われていくのです」(進藤先生) |
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各自の興味に応じた研究テーマを設定し、1年間通して研究に取り組む。研究に必要な知識は、自ら調べ身に付ける。実験は、必ずしも成功するとは限らない。実験計画を立て、試行錯誤を繰り返しながら実証していくことで、独創性や論理的思考力が養われる。 |
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