ベネッセ教育総合研究所
高大連携の新たなフォルム
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大阪大 Osaka University
公開実験授業~分子生物学体験実習(連続3日間・年2、3回実施)

実施概要
 大阪大で遺伝子操作(遺伝子クローニング)や電子顕微鏡実習・研究紹介などの分子生物学実習を3日間延べ24時間以上かけて行う。大阪教育大付属高校平野校舎吉本和夫教諭が主導する形で大阪大大学院理学研究科倉光成紀教授との連携で実施。

対象:各回30名(主に高校生。教員などの高大連携研修者、その他一般参加も含む)。

日程:実習は連続3日間(9~18時頃)行う。合わせて事前学習・事後指導が約3時間(高校で実施)課される。

参加条件:(1)3日間すべての実習に参加すること、(2)実習終了後、実習に関する感想文(1000字以上)・アンケート、課題を必ず提出すること、(3)実習に必要な予備知識を学習する事前指導に参加すること。
※(2)(3)は、高校生以外の参加者のみ免除する場合もある。
※すべての実習に参加・履修し、感想文・アンケート・課題を提出した者には、大阪大より修了証書が授与される。

 大阪大理学部生物学科が96年度から毎年行っている遺伝子操作体験実習を振り返って、倉光成紀先生は次のように述べる。
 「高校生にサイエンスの楽しみを伝えたいという思いで吉本先生と始めた取り組みですが、大学の設備、人材を無理なく使ってどこまでやれるかと、我々にとっても挑戦でした。
 高校生が対象の実験で難しいのは、どこまで準備すべきかということ。実験キットを使った作業になると感動がない。ゼロから始めると時間がかかるし、失敗の可能性も高い。実験を意義あるものにするために、失敗したときのバックアップをどこまで想定して、準備しておくべきかが難しいところです」
 実習のチューターには、主に学部生が当たるという。
 「院生がメインになると高校生への指導もよりきめ細かになりますが、研究スタッフが長時間拘束されることになります。そこで、チューターは、主に1、2年の学部生に依頼します。その分チューター用の指導マニュアルを作り、実験結果をどの程度、どれくらい時間をかけて考えさせ、いつ答えを教えるか等の流れを細かく指示します。また、3日間の実習をすべての高校生が同じように理解できるわけではありません。実験がうまくいかなかったりして泣きながら帰宅する生徒も中にはいます。生徒たちが帰った後、チューターは反省会を実施し、翌日の実習でのフォローを細かく打ち合わせします。こうした詳細な指導書や入念な打ち合わせなどがあるからこそ、高校生の大学での学びが成立し、それを院生でなく学部生の指導で進めることができるのだと思います」(倉光先生)
 こうした長年の取り組みを倉光先生は次のように振り返る。
 「取り組みの成功の秘訣として、高校の教員がプログラムの作成から進行までも主導すること、高校生の理解度を刻々と把握し、性格までも考慮しつつサポートする指導のきめの細かさなどが挙げられます。更に、チューターの体験は、学生自身の成長にもつながっています。高校生の真剣な姿を見て、研究に対する熱意が高まったという学生は多いんです。私自身も高校の先生の丁寧な指導を見ることは、とても刺激になっています」


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