特集 「完全新課程生」をどう育てるか

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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1、2、3年のタテの連携が今後の鍵

―では最後に、今後の「完全新課程」時代に向けて、高校現場が取り組むべき課題について、お考えをお聞かせください。

沢井 その点に関して言えば、最近の生徒の良い部分である素直さをどう生かすかが一つのポイントになるかと思います。昔のように、妙に反抗したがる生徒や、いわゆる「手のかかる生徒」は本当に少なくなりましたよね。しかし、だからといって「素直な生徒だから、課題やプリントをたくさん与えればいい」と結論付けるのは安直です。それでは結局「教師が与え続けなければいけない」という回路から脱却できません。どの時点まで素直さを生かした指導を行い、どの時点でその価値観を変えていくのか…。あるいは、「素直さ」の裏にある環境の変化や、昔の生徒の「素直さ」とどう違うのかをきちんと分析してみることなども必要になると思います。

浅川 私が課題だと思うのは、新課程生(03年度入学生)が初めて3年回った今の段階で、改めて学校のシステムをきちんと見直してみることですね。先ほど、「父性的」な指導もと言いましたが、実はそういう指導ができる先生もそれほど残っていないという現実があります。そうしたときに、ベテランの職人芸を代替するのは、組織や分掌のシステムになってくると思うんです。多治見北高校の新旧担任連絡会、本校でも進路課の伝統行事ですが、上野高校の学力検討会などもそうした狙いだと思います。それから難関大を想定した授業や教授力といった面での経験情報を補完するシステム構築も必要だと思います。本校の「学力向上フロンティアハイスクール事業」では、それを実践してきました。

後藤 そうですね。伝統校の場合、学年主導で動くケースが多いので、3年おきにしか新入生のことが分からない、といったケースが少なくありません。分掌、あるいは教科といったさまざまなカテゴリーで、タテの連携を深めていかなければなりませんよね。「3年回った状態」というのは、一つの学年を育て上げた経験情報が残るという点で、非常に重要な意味があると思うのです。その経験をきちんと生かせるかどうかが、今後の「完全新課程生」への対応を、大きく左右するのではないでしょうか。

―本日はありがとうございました。


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