指導変革の軌跡 青森県立三本木高校「考える力の育成」

青森県立  三本木高校

青森県立 三本木高校

06年度で創立80年目を迎える、地域の中心的な進学校。「学業の練磨 人格の陶冶 体力の養成」の校訓の下、地域に貢献できる人材の育成を目指して教育活動を行っている。07年度より中学校を併設予定。

設立●1926年(大正15年)

形態●共学/普通科、理数科

生徒数(1学年)●約280名

05年度進路実績●国公立大には、東北大、北海道大、弘前大、岩手大などに147名が合格。私立大には早稲田大、明治大、東海大、東北学院大などに延べ265名が合格。

住所●青森県十和田市西五番町7-1

電話●0176(23)4181

WEB PAGE●http://www.kamikita.
asn.ed.jp/‾sanbongi/


福村 忠夫

▲青森県立三本木高校

福村 忠夫

Fukumura Tadao

教職歴32年目。三本木高校に赴任して11年目。国語担当。進路指導主事。「薪一本で火は燃えぬ。皆で切磋琢磨して、はじめて生徒は燃える!」

森 康彦

▲青森県立三本木高校

森 康彦

Mori Yasuhiko

教職歴23年目。三本木高校に赴任して16年目。数学担当。教育推進部主任。「何より『気合』。勉強も部活もこれ抜きには語れない」

福島 智

▲青森県立三本木高校

福島 智

Fukushima Satoshi

教職歴16年目。三本木高校に赴任して3年目。数学担当。1学年担任。「忍耐あるのみ。授業でも合宿でも、生徒にそう訴えています」 」

小野寺 昭夫

▲青森県立三本木高校

小野寺 昭夫

Onodera Akio

教職歴14年目。三本木高校に赴任して10年目。世界史担当。1学年副主任。「周りの人たちと協調性のある人間を育てたい」

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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指導変革の軌跡61
青森県立 三本木高校 「考える力の育成」

従来の常識を破り推薦・AO入試で顕著な実績

「推薦・AO邪道論」への挑戦が始まる

 推薦入試やAO入試で大学に入るのは邪道。進学校ならば、生徒には一般入試で勝負させるべき――。こうした考え方は、特に伝統的な進学校を中心に、根強いものがある。青森県立三本木高校もその例にもれず、つい最近まで、推薦入試やAO入試に出願する生徒はごく少数にとどまっていた。
  だが、02年度を機に、三本木高校ではそんな状況が変わってきた。改革の狼煙を上げたのは、学年主任(当時)として02年度入学生を率いた森康彦先生だ。
  「本校に限らず、青森県では全般的に『大学入試は学力試験を実力勝負で』という考え方がまだまだ強いんです。言葉は悪いですが、推薦入試やAO入試は、一種の『邪道』と思われているフシがあるんですね。しかし、推薦・AO入試で問われる能力は、小手先の対応では身に付かない、れっきとした『実力』のはずです。また、学校にとって一番大切なのは、生徒たちが希望進路を実現することであり、旧来型の手法だけにこだわって、選択肢を狭めることではありません。進学実績が頭打ちになる中で、学力試験ばかりを見据えた従来型の指導では、地域の信頼は得られないという危機感もありました」
  とは言え、こうした考え方が、一気に学校全体に浸透していくのは難しかった。三本木高校は学年ごとの自主裁量権が大きいため、トップダウン型の改革スタイルは取りにくい。また、「推薦・AOシフトが過度に進めば、『三本木も落ちたものだ』と周りの学校に言われかねない」と、慎重論を唱える声も少なくなかった。そこで、森先生たちは、「まずは02年度入学生から」という方針を掲げ、自らの学年が率先して改革を進めていくことにした。
  「学年団結成の時点で確認したのは、小手先のテクニックではなく、推薦・AO入試を突破する力を含めた広い意味での『実力』を身に付けた生徒を育てることでした。言い換えれば、自らの頭でしっかりと考え『自律・自立』できる生徒を育てるということです。これまでの慣例に捕らわれずに、思いついたことがあればすぐにでも提案してほしいと、先生方にはお願いしました」(森先生)


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