指導変革の軌跡 茨城県  大成女子高校「進路意識向上」
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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進路意識向上も教師のやりがい

 進路指導の体系化、特に「進路マップ→進路ガイダンス」という指導サイクルの確立により、生徒の進路意識は大きく向上した。2年生8月時点での「進路をこれから考える」という質問に対する生徒の回答を見ても、03年度には24名だったものが、05年度には8名まで減っており、進路決定の時期が大幅に早くなっていることが分かる。
  また、データに現れる変化以外にも、さまざまな場面で生徒が主体的に動く姿が見られるようになった。大学のオープンキャンパスへの参加率が高まったことは言うまでもないが、某大学のオープンキャンパスでは、質問コーナーに大成女子高校の生徒ばかりが長蛇の列をつくる光景も見られた。また、自らインターンシップ先を開拓し、報告書を提出する生徒も現れた。いずれも以前には見られなかった行動だという。
  また、教師の意識も更に向上した。学習指導以外の面で褒める手がかりを得たことは前述したが、それが教師のやる気にもつながっているのである。
  「多くの教師が、成績をアップさせることだけが、進路実現に近づく手立てではないということに気付いた意義は大きかったですね。進路面や生活面で褒める材料ができて、その生徒が意識を高められれば、それも合格や内定に近づく有力な手立てになる。これまでは、生徒のテストの点数や偏差値を上げることでしか教師としての満足感が得られなかった先生も、生徒の進路意識を高めることも、仕事のやりがいにつながると捉えられる雰囲気になってきていると思います」(鈴木先生)
  大学・短大のオープンキャンパスへの参加を促したり、ボランティアへの参加を呼びかけたりする教師の姿も多く見られるようになったのも、そうした意識の高まりの現れに他ならない。
  今後の展望は、「進路指導サイクルの中に、面談を組み込むこと」と綿引先生は語る。進路マップや進路ガイダンスと同様、面談のテーマや時期も詳細に設定し、「進路マップ→進路ガイダンス→面談」という流れをつくっていくことが理想だという。
  「生徒一人ひとりの進路意識が高まったことで、『知名度が高い』といった安易な理由で進路先を決める生徒が減ったことは大きな成果でした。今後は面談を一層強化することで、進路ミスマッチの解消を目指していきたいと思います」(綿引先生)


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