指導変革の軌跡 茨城県  大成女子高校「進路意識向上」
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
  PAGE 10/11 前ページ  次ページ

「振り返りシート」で進路意識を高める

 改革開始から2年が経過した03年度は、大成女子高校の進路指導にとって画期的な年になった。これまで個別に実施してきた一連の取り組みに関連性を持たせて、大成女子高校としての「3年間の進路指導計画」を打ち立てることができたのである(図1A)。各学年の目標を定め、その目標に応じて進路マップや進路ガイダンスを効果的に実施していく体制が、ここに確立した。
  「3年間の指導計画を明文化して先生方に示せた意義は大きかったですね。今後、本校は、この形で3年間の進路指導を行っていくんだという明確な指針を示したことで、進路指導部の決意を多くの先生方が感じ取ってくれたと思います」(大津先生)
  大成女子高校の進路指導の大きな特徴は、それまで個別に実施していた進路マップと進路ガイダンスに関連性を持たせた指導サイクルが形づくられていることである。指導の流れは図1Bに示した通りだが、進路マップを基点として事前・事後指導があり、それらを踏まえた上で進路ガイダンスを実施する。進路マップは3年間で6回実施されるが、3年生2学期実施分を除いて、すべてがこのサイクルによって行われる。

図1

  進路マップと進路ガイダンスを結ぶ強力なツールが、大成女子高校が独自に考案した「振り返りシート」だ。大成女子高校では進路マップを使って、時期に応じて「自分の実力を知る」(1年生4月)、「教科ごとの分析を行う」「志望校・就職先の試験内容を知る」(2年生2月)といった指導目標を立てている。そして、指導目標に応じた振り返りシートを作成し回答させているのだ(図2)。

図2 クリックすると拡大します
図2

  例えば、2年生9月の進路マップの指導目標は「現在の自分の到達ゾーンを知る」「上級学校・就職のシステムを知る」で、進路ガイダンスのテーマは「入学・就職試験のシステム」。大学・短大や就職について「自分はどれくらいの知識を持っているのか」ということを生徒に意識させることが重要になる。そこで、2年生9月の振り返りシートでは、例えば大学・短大志望者には「大学・短大の推薦入試は一人何校でも受験できる」「短大の課程はすべて2年間である」といった質問にYes、Noで回答させ、何問正解したのかを確認させるのである。正解率が高ければよし、低ければ進路ガイダンスをしっかり受けようという気になるというわけだ。進路指導部の森聖子先生は次のように述べる。
  「振り返りシートの最大のポイントは、進路マップ実施後の生徒の意識を、いかに進路ガイダンスに向けるかという点です。そのため、進路マップのデータが戻ってきた最初のホームルームで必ず振り返りシートを使って事後指導を行うことにしています。また、書式については、生徒が自分たちで自主的に取り組めるよう工夫しました。Yes、Noで回答させることもその一つ。進路意識を高めるには主体的に取り組ませることも大切なんです」


  PAGE 10/11 前ページ 次ページ