現在、高校現場は入学生の学力格差の拡大、自ら学びに向かう姿勢の希薄化など、新課程生を巡るさまざまな課題に直面している。それだけに、小・中学校において、学力向上に対する取り組みがどのように行われているかは、高校現場の関心も高い。更に今後、小・中学校でも「学校評価」の義務化が検討されている。そのため、小・中学校の実践を、R-PDCAサイクルの観点から把握しておくことは、高校にとっても必要な視点となるであろう。
ベネッセ教育研究開発センターでは、小・中学校における学力向上の取り組みに対する成果認識と、R-PDCAサイクル(※1)のマネジメントとの相関を調査。自治体等の研究指定校に採択された1957校を対象にアンケートを行い、学力向上の取り組みに対する各校の成果認識を探った。その結果、「かなり成果が上がっている」と「まあ成果が上がっている」の回答の合計が、小学校で100%、中学校で89%に及んだ(図1)。
ベネッセ教育研究開発センターでは、この「かなり」と「まあ」の違いに着目し、成果認識の違いが生まれる背景・要因をR-PDCAサイクルの各段階において分析した。以下で、段階ごとに明らかとなったポイントと、解決すべき課題を考察したい(※2)。
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