VIEW'S REPORT 小・中学校におけるR-PDCAサイクル 小・中学校は「学力向上」の成果をどう認識しているのか
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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1 リサーチ(Research)

データや分析結果の扱いの違い

 まず、「リサーチ」段階に関してであるが、小・中学校では「かなり成果が上がった」とする学校は、「まあ成果が上がった」とする学校に比べて、学校全体の課題について教師全員で認識し、合わせて保護者や地域にもその調査結果を公表している学校が多いことが分かる(図2)。

図2

  リサーチ段階では高校と同様、校内コンセンサスをいかに醸成するかが重要である。この段階でのコンセンサスが、プラン以降のあらゆる段階で、立ち戻るべき拠り所となるからだ。このプランはなぜうまくいかなかったのか、なぜチェックがうまく機能しなかったのか――、共通の課題認識があれば、各活動場面におけるつまずきも修正しやすくなる。
  小・中学校においてコンセンサスの醸成を難しくする大きな要因の一つは、教師全員が「知っているつもり」になってしまうことにあるようだ。例えば、調査によって得られたデータについて、ある教師は「強み」だと言い、別の教師は「弱点」だと言う。同じデータであっても、その解釈は教師によって異なる場合も少なくない。単にデータを共有するだけでなく、そのデータを基にした「認識」も共有する方向が望まれる。
  コンセンサスの醸成は、学校内だけの問題にとどまらない。実態把握のデータや分析結果を、保護者や地域に公表し、その協力を引き出すことも重要である。しかし、ここにもリサーチを難しくする要因があるようだ。一つは、調査結果を公表することで、学校が比較されるという意見が強く、このプロセスを忌避する学校が少なくないということ。もう一つは、公立の小・中学校では、学校の実態調査を、市教委や町教委などの行政が一括して執り行うことも多いため、学校単体で動きづらいという事情もある。
  「かなり」と回答した学校は、こうした壁を克服した学校である。広島県のA小学校のように「学力テストの実施、成績分析の公表、学校の教育計画の練り直しなどを行った。学校としてどこが難点であり、どのようにすれば成果が上がるのかなど、教職員全体で考えた結果、一定の方向性が見えた」とする学校もある。
  高校と同様、特定の教師の努力に頼らない組織づくりが重要であると言えそうだ


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