編集部 指導力向上を図っていく上で、高校現場ではどのような課題を抱えているのでしょうか。先生方が感じている課題を教えてください。
花島 生徒指導主事として感じているのが、教師間の認識のバラツキです。私は生徒指導は、生徒がきちんとした社会性を身に付けた大人になるために行うものだと思っています。例えば生徒の服装の指導にしても、そういう観点で取り組んでいます。
ところが最近「短いスカートの方がかわいくてよい」と言う若い先生や、生徒と友達言葉で話すのがコミュニケーションだと考える先生が増えています。以前は教師間で共通理解できていたことが、そうではなくなっているんです。生徒も教師を観察していて、友達言葉でいいと思っている教師には友達感覚で話しかけるなど、接し方を変えています。
長岡 生徒と教師の関係が昔とは変わり、若い先生も生徒も「それでいいんだ」と思っている傾向を私も感じます。生徒と仲良くすると生徒からの人気が出るので、それを指導力の高さと勘違いしてしまう危険性もあるのではないでしょうか。
本校では新入生を対象に4月にオリエンテーションを行うのですが、そのときに、「ねえ先生」と私の肩に手をかけてきた生徒がいたんですね。非常に驚いたのですが、今の中学校での生徒と教師の関係を反映したものかも知れません。しかし、2学期に入るとその雰囲気も消えました。生徒指導部を中心に、「きみたちと教師は友達ではない」ときちんと指導をしたためだと思われます。
若い先生に対しては、「しっかり指導しないと、授業やクラス運営が難しくなりますよ」と、折に触れて話すことで、意識を高めてもらっています。
保科 本校では「馴れ馴れしい生徒が増えた」といった問題は特に感じていません。逆に「もう少し元気を出してほしい」と思うぐらいです。
本校に入学してくるのは、前橋や高崎のトップ校に進学できなかった生徒と、山間部出身の素朴な生徒が中心です。そのため、自分に今ひとつ自信が持てないまま高校生になった生徒も多く、進路選択でも保護者の要望に従いがちです。ですから、本校の指導上の課題は「自信を持って行動できる生徒をどう育てるか」ということです。
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