特集 「学校力」を考える(1) 学び高める「指導力」
保科昇

▲群馬県立渋川高校

保科昇

Hoshina Noboru
教職歴29年目。同校に赴任して11年目。進路指導主事。地歴担当。「常に夢を抱き、意欲的に人生に挑戦する生徒を育てたい」

花島靖文

▲群馬県立太田東高校

花島靖文

Hanashima Yasufumi
教職歴22年目。同校に赴任して6年目。生徒指導主事。数学担当。「困難を乗り越えられる強さと、夢を持った人材を育てたい」

長岡秀一

▲群馬県立太田高校

長岡秀一

Nagaoka Shuichi
教職歴20年目。同校に赴任して5年目。1学年主任。英語担当。「高い教養を持ちながら、他人に優しい生徒を育てたい」


※本文中のプロフィールはすべて取材時(06年3月)のものです
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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【座談会】

「指導力向上」の課題と方策のヒント

価値観の多様化によって、生徒の気質が変わり、若い教師の意識も
多様化している。そのような中、高校現場では教師の指導力を高めていく上で、
ミドルリーダーはどのような課題を抱え、その解決に向けてどのように
アプローチしていけばよいのだろうか。群馬県内の各校で中心的な役割を
果たしている3人の先生方が、現場で感じていることを語った。

コミュニケーションとは生徒と友達言葉で話すことではない

編集部 指導力向上を図っていく上で、高校現場ではどのような課題を抱えているのでしょうか。先生方が感じている課題を教えてください。

花島
 生徒指導主事として感じているのが、教師間の認識のバラツキです。私は生徒指導は、生徒がきちんとした社会性を身に付けた大人になるために行うものだと思っています。例えば生徒の服装の指導にしても、そういう観点で取り組んでいます。
  ところが最近「短いスカートの方がかわいくてよい」と言う若い先生や、生徒と友達言葉で話すのがコミュニケーションだと考える先生が増えています。以前は教師間で共通理解できていたことが、そうではなくなっているんです。生徒も教師を観察していて、友達言葉でいいと思っている教師には友達感覚で話しかけるなど、接し方を変えています。

長岡
 生徒と教師の関係が昔とは変わり、若い先生も生徒も「それでいいんだ」と思っている傾向を私も感じます。生徒と仲良くすると生徒からの人気が出るので、それを指導力の高さと勘違いしてしまう危険性もあるのではないでしょうか。
  本校では新入生を対象に4月にオリエンテーションを行うのですが、そのときに、「ねえ先生」と私の肩に手をかけてきた生徒がいたんですね。非常に驚いたのですが、今の中学校での生徒と教師の関係を反映したものかも知れません。しかし、2学期に入るとその雰囲気も消えました。生徒指導部を中心に、「きみたちと教師は友達ではない」ときちんと指導をしたためだと思われます。
  若い先生に対しては、「しっかり指導しないと、授業やクラス運営が難しくなりますよ」と、折に触れて話すことで、意識を高めてもらっています。

保科
 本校では「馴れ馴れしい生徒が増えた」といった問題は特に感じていません。逆に「もう少し元気を出してほしい」と思うぐらいです。
  本校に入学してくるのは、前橋や高崎のトップ校に進学できなかった生徒と、山間部出身の素朴な生徒が中心です。そのため、自分に今ひとつ自信が持てないまま高校生になった生徒も多く、進路選択でも保護者の要望に従いがちです。ですから、本校の指導上の課題は「自信を持って行動できる生徒をどう育てるか」ということです。


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