指導力向上で重要となるのが、足立校長が掲げる「意識改革」だ。では、大分舞鶴高校では教師の意識改革にどのように取り組んできたのか。まずは、学年主任が的確な情報をタイミングよく、ほかの教師に提供するということだ。3学年主任の久保田圭二先生は、次のように述べる。
「本校にはベテラン教師が多く、レベルの高い授業ができることは大前提。それに加えて重要なのが、どれくらい生徒を受け止められるかということです。今、生徒はどういう状態なのか、どういう気持ちで生活しているのか。生徒の状況を的確に把握できなければ、いかに高いスキルを持っていても、それを生徒に還元することはできません。大切なのは、教師として生徒に何ができるかを常に考えること。これこそが、私が最も重視する『担任力』です。そうした教師の意識を高めるための情報提供を行うことは、私たち主任の重要な仕事の一つなんです」
そんな久保田先生が取り組んでいる一例が、スタディーサポート通信(図1)の配付だ。ここには、時期に応じた指導のポイントが書かれているが、それを切り抜き、重要な部分に下線を引き、ベテラン、若手の別なく、すべての教師に配付する。「『何か一つでも学ぶべきものはないか』という意識を持ってもらうことが大切」と、久保田先生は述べる。
情報提供のタイミングは、必要と思ったとき。即座にプリントにまとめて配付しているという。生徒の状況は、日に日に変わっていく。その機を逃さず、素早く情報を提供することで、教師の「生徒を感じ取る力」(久保田先生)を高めていくのである。
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