情報提供による意識啓発で、大分舞鶴高校が特に重視しているのが数値データだ。県全体の進学実績をはじめ、他県・他校との成績や学習時間の比較など、実証的なデータを積み重ねることで、教師の意識啓発を図っていく。「数値は最大の説得材料」と足立校長は強調する。
学年主任が学年団に対して行う情報提供についても同様だ。久保田先生の学年では、中間考査や実力テストなどのたびに、成績を順位別に示したデータを、担任・副担任をはじめ、学年団に所属するすべての教師に配付したという。生徒の全教科での順位や各科目の得点、それまでの成績の推移などのほか、所属する部活動名も明記している。
「伸びている生徒には『頑張っているな』と声掛けをしていただき、落ち込んでいる生徒に対しては、その生徒がどういう状況にあるのか、どうすれば伸びるのかを考えていただく。いくらデータを提供しても、そういう目で見ない限りは、どんな有益なデータであっても素通りするだけです。大切なのは、情報を提供することそのものではなく、その情報から生徒に何を還元できるのかを、教師一人ひとりに考えてもらうことなんです」(久保田先生)
更に、久保田先生は各考査の成績について、部活動ごとのデータも抽出し、各部活顧問に渡している。これにより、部員の成績に対する部活顧問の関心が高まり、顧問が担任に生徒の様子を報告したり、相談を持ちかけたりするようになったという。データの提供を行うことで、担任と部活顧問との間で「共に生徒を育てていこう」とする意識が共有化されているのである。
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