―3人が集まり、最初に着手すべきことは何でしょうか。
木岡 それは危機感の共有です。例えば、「学力上位層の生徒がほかの高校に流れている」「中学生や保護者からの信頼を失い、定員割れとなった」など、今、自校が抱えている課題を共有することです。その際は、実感レベルではなく、客観データを踏まえて共有することも大切です。
―しかし、課題を共有できても、「なぜ問題が起きているのか」という原因を探るのは難しくないでしょうか。実感レベルであれば、いろいろと話せると思いますが……。
木岡 原因の探求は、次の段階です。そのための手法を一つ紹介します。まず付箋を3色用意します。そして、例えば「定員割れが起きている原因」を先生方に挙げてもらい、「指導上の問題」と「組織運営上の問題」に分け、一つの問題につき1枚の紙に書き出していきます。更に「指導上の問題」には赤の付箋、「組織運営上の問題」には黄の付箋、両方にかかわるものには青の付箋と、色分けします。これを6人ぐらいで行うと数多くの原因が挙がってきます。
―「指導上の問題」と「組織運営上の問題」はどう分ければよいですか。
木岡 例えば、「定員割れとなったのは、生徒指導が厳しすぎるからだ」というのは「指導上の問題」です。「広報がうまくいっていなかった」は「組織運営上の問題」ですね。
ただし、「指導上の問題」と「組織運営上の問題」を抽出しただけでは、まだ現象として表れている表層的な問題、つまり「表出型問題」をピックアップしたにすぎません。表出型問題だけで対策を練ろうとすると、「生徒の成績が伸び悩んでいるから、宿題を増やそう」というように、対症療法になってしまいます。
―もう一歩踏み込んで、成績が伸び悩んでいる根本的原因を探ることが必要ということですね。
木岡 そうです。それを「探索型問題」と言います。探索型問題は、付箋で色分けした問題を、KJ法(19ページコラム表1)などで分類すると見えてきます。この探索型問題の追究により、「指導上の問題」だと思っていたことが、実は「組織運営上の問題」だったとわかる場合もあります。生徒の成績が伸び悩んでいるのは、個々の教師の力量が原因ではなく、実は教科間や学年団の連携が機能していないという「組織運営上の問題」だったという具合です。
探索型問題までたどり着いたら、その問題に対してどのような対策を講じればよいかを探ります。これを「設定型問題」と言います。
このように問題追究は、表出型問題から探索型問題、設定型問題へと深めていくことが必要です(図1)。
|