―これらの手法は、大変興味深いものですが、うまく運営していくためにはファシリテーターの存在が必要になってきますね。
木岡 そうですね。私はファシリテーターを日本語で「改革促進者」と呼んでいます。改革促進者は、自ら改革案を提示し人々を引っ張っていく人のことではありません。ほかの教師の能力を「解発」し、それらを改革に結び付けられる人を言います。
―「解発」というと?
木岡 「解発」は、その人が持つ潜在的な能力を引き出すことです。豊かな発想があるにもかかわらず、教科や分掌の枠組みにとらわれ、自分の力を十分に発揮できない教師もいると思います。それを解き放つ役割となるのが、ファシリテーターです。
教科の枠を越えた取り組みの場を設けて、参加者の発想を引き出し、その発想をほかの参加者の発想と結び付けながら、コンセンサスを得ていきます。そして、参加者の意見を集約しながら、課題の発見と解決に向けての舵取りをしていくのです。
―ファシリテーターが教師の潜在能力をうまく解発できれば、それこそ対等で異なる人間が互いに刺激 し合いながら新しいものを生み出していく環境が成り立ちますね。
木岡 ただし、「怖い」という側面もあります。取り組みの着地点が見えないので、計画的に物事を進めたい学校にとっては冒険です。特に、校長は不安で仕方ないはずです。最初は実験的・段階的に導入し、うまくいきそうなら、自校に応じた形で本格的に導入すればよいでしょう。
ファシリテーター役は、学校全体を見渡せる位置にいるミドルクラスの教師が適任です。場合によっては外部の人材を活用してもよいですね。
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