指導変革の軌跡 宮城県佐沼高校「学力向上」
宮城県佐沼高校

宮城県 佐沼高校

2006年に創立104周年を迎える伝統校。「献身・窮理・力行」を校訓として21世紀の国際社会を生き抜く力を養う。文武両道を校是として、毎年多くのインターハイ出場者が輩出している。

設立●1902(明治35)年

形態●全日制・定時制/普通科/共学

生徒数(1学年)●約240名

06年度進路実績●国公立大には、北海道教育大9名、東北大1名、山形大12名、宮城大5名など計74名が合格。私立大には東北学院大、青山学院大、日本大、明治大など延べ123名が合格。

住所●宮城県登米市迫町佐沼字末広1

TEL●0220-22-2022(全日制)

WEB PAGE●http://sanuma.
myswan.ne.jp/


久力誠

▲宮城県佐沼高校校長

久力誠

Kuriki Makoto

教職歴35年目。佐沼高校に赴任して3年目。「心を込めて仕事をするよう心がけています」現・宮城県第二女子高校校長

加藤栄之

▲宮城県佐沼高校教頭

加藤栄之

Kato Sakayuki

教職歴33年目。佐沼高校に赴任して2年目。「生徒のために何ができるのかを常に考えています」現・宮城県仙台向山高校教頭

阿部伸

▲宮城県佐沼高校

阿部伸

Abe Shin

教職歴18年目。佐沼高校に赴任して6年目。進路指導部長。「生徒は幸せになるよう努力してほしい」現・宮城県仙台第一高校

岡崎金雄

▲宮城県佐沼高校

岡崎金雄

Okazaki Kaneo

教職歴10年目。佐沼高校に赴任して4年目。進路指導部進学指導担当。「思いやりのある生徒を育てようと心がけています」

渡邊勝宏

▲宮城県佐沼高校

渡邊勝宏

Watanabe Katsuhiro

教職歴10年目。佐沼高校に赴任して4年目。教務部学力向上担当。「学ぶ楽しさを知る生徒を育てていきたいですね」

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指導変革の軌跡66


宮城県 佐沼高校「学力向上」

教師の意識改革をベースに指導力向上と学習習慣確立を図る

● 実践のポイント
「進学支援プログラム事業」や「百周年記念事業」などで教師の意識改革を促す
定期考査の60分化、「Sanuma授業塾」の実施により指導力を強化
「学習の記録」により生徒の自宅学習習慣の定着を図る

二つの事業により教師の意識改革を図る

 10年前、宮城県佐沼高校は進学実績の低迷にあえいでいた。かつて「県北の雄」と称えられ、50~60名の国公立大進学者が輩出していた佐沼高校も、当時は現役と浪人を合わせても20名を切る状態が続いていた。1996年には、危機感を抱いた英語科の有志が朝課外を始めたが、98年度入試の国公立大進学実績は現役10名と、過去10年間で最も落ち込んだ(図1)。

図1

  そんな佐沼高校が飛躍への足がかりを得たのは98年のことだ。この年、進学実績の向上を目指す宮城県の施策「進学支援プログラム事業」の指定を受けたのである。進路指導部長の阿部伸先生は次のように語る。
  「本事業の指定がさまざまな取り組みを導入するきっかけになりました。まず若手とベテランを含めた数人のグループで先進校視察を行いました。結果は職員会議で共有しましたが、視察した先生方はカルチャーショックを受け、熱い発表になりました。その後も年間で数組実施することで、徐々に教師全体の意識が向上していきました。この時期は視察内容を基に、一部の有志で行っていた朝課外を組織化したり、模試の全員受験化、土曜課外や学習合宿などを取り入れていきました」
  更に、02年度に催された「創立百周年記念事業」も、教師の意識に変革をもたらす契機となった。教務部の渡邊勝宏先生は、記念事業により「教師同士が協働で物事に取り組む素地ができた」と振り返る。
  「数々の記念事業や百年史の編纂などを通して、本校の歴史の重みを感じると共に、事業運営を通して意見を出し合い、足並みをそろえて取り組む体質が強化されました。大きなことができるという自信を教師みんなが持てるようになったと思います」
  教師の意識の高まりを反映して、進学実績も徐々に向上し、03年度入試では現役合格者は35名に達した。


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