特集 「学校力」を考える(3)生徒が伸びる面談


静岡県立静岡東高校

◎ここ数年、生徒の学力向上と進路意識の醸成を狙いとして、高大連携や社会専門講座、学力向上フロンティアハイスクールなどさまざまな取り組みに着手してきた。学校行事も盛んで、6月に行われる学園祭・東陵祭は、全クラスの展示発表・演劇発表などを伴う大規模なもの。

設立●1963(昭和38)年

形態●全日制/普通科/共学

生徒数(1学年)●約320名

06年度進路実績●国公立大には、北海道大、東北大、千葉大、東京外国語大、横浜国立大、大阪大、静岡大など149名が合格。私立大は早稲田大、上智大、明治大、法政大、東京理科大、同志社大、立命館大など延べ547名が合格。(現役のみ)

住所●静岡県静岡市葵区川合3-24-1

電話●054-261-6636

WEB PAGE●http://homepage3.
nifty.com/shizuokahigashi/


須藤壽忠

▲静岡県立静岡東高校校長

須藤壽忠

Sudo Toshitada

教職歴38年目。校長として静岡東高校に赴任して4年目。「将来、地元の中核的存在として活躍できる人材を育てたい」

松山利彦

▲静岡県立静岡東高校

松山利彦

Matsuyama Toshihiko

教職歴23年目。静岡東高校に赴任して8年目。進路指導課長。「生徒に『未見の我』を気付かせる指導をしていきたい」

小関直樹

▲静岡県立静岡東高校

小関直樹

Ozeki Naoki

教職歴20年目。静岡東高校に赴任して8年目。2学年学年主任。「生徒の殻を破り、持っている力を最大限引き出したい」

森山陸雄

▲静岡県立静岡東高校

森山陸雄

Moriyama Mutsuo

教職歴25年目。静岡東高校に赴任して6年目。「学問の面白さを生徒に伝え、共に真理を追究していきたい」

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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【学校事例1】


静岡県立静岡東高校

組織的な面談指導で生徒の信頼と意欲を引き出す

静岡東高校では、進学実績が落ち込み、生徒の服装の乱れや遅刻が目立つ
時期があった。そこで静岡東高校が取り組んだのが、生徒一人ひとりと向き合う
面談指導。面談によって学校はどのように変わっていったのだろうか。

生活指導と進路指導をセットにした面談

 静岡東高校の進学実績の伸びは、ここ数年著しい。1999年度入試の国公立大合格者は87人。それが年を追うごとに合格者数は増加し、今春卒業生に至っては、卒業生322人に対し149人に達している。
  こうした背景を進路指導課長の松山利彦先生は、「本校は学力向上フロンティアハイスクールなどのさまざまな取り組みを立ち上げていますが、中でも面談指導を充実させたことが大きいと思います。面談によって教師と生徒との間の信頼感が高まり、生徒の意欲を引き出すことができましたから」と説明する。
  静岡東高校が面談指導に力を入れ始めたのは、01年ごろからだ。実は当初の狙いは進路指導ではなく、生徒の生活面の改善だった。
  「私が本校に赴任したのはちょうど99年でした。当時は服装が乱れ茶髪も目立ち、毎朝、クラスに4、5人は遅刻者がいて、落ち着いて学業に専念できる雰囲気ではありませんでした。そこで、生活指導を重視することで、学校の雰囲気を変えることを目指したのです」(松山先生)
  生活指導といっても静岡東高校の場合、抜き打ちで生徒全員の服装検査をするといった、よくある一斉指導は取らなかった。たとえ表面的には生徒の服装の乱れや遅刻が改められても、生徒の「気持ち」までを変える指導にはつながらないからだ。静岡東高校が選んだのは、「生活指導と進路指導をセットにした面談指導」で、生徒と粘り強く向き合うこと。やはり99年に静岡東高校に赴任して、生徒指導担当として面談指導に中心的にかかわってきた小関直樹先生は次のように話す。
  「身なりを正すことだけが目的の面談では、生徒を本当の意味で変えられないと考えました。そこで、面談を『生き方』指導として捉え直したのです。本校の生徒のほとんどは進学希望者。進路や学習の話を軸にしながら『自分には本来やるべきことがあるのに、こんなところでつまずいていてはいけない』と生徒自身に気付かせるように話しかけました」
  もちろん面談は1回では終わらない。生徒の様子が変わるまで、継続的に行われた。生活が乱れている生徒は、家庭や人間関係に問題を抱えていることが多い。ときには彼らの悩みに耳を傾け、どうすれば立ち直れるかを一緒になって考えた。
  「学校の中に、徐々に落ち着いて学習に取り組む雰囲気が戻り、それに伴って進学実績も上昇カーブを描くようになりました。今では服装違反や遅刻をする生徒は、極めて少数になっています」(松山先生)


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