特集 「学校力」を考える(3)生徒が伸びる面談
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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個々の教師の実践から学校全体の取り組みへ

 05年春、松山先生や小関先生は、職員会議の場で、ある提案をした。これまで生徒指導課や個々の学年、教師の取り組みとして行ってきた面談指導を、学校全体の施策として体系化するというものだ。
  提出された案は、図1の通り。1学年につき、1年間に6回の面談指導週間と三者面談週間を設定する。それぞれの面談指導週間の前には、生徒に現在の学校生活や学習状況について書き込んでもらう「自己診断シート」を配付して回収。これを資料にしながら面談を実施する。そして面談終了後には「目標決定シート」を使って、生徒に今後の学校生活や学習・進路目標を立てさせるというものだ。ちなみに生徒が記入した「自己診断シート」や「目標決定シート」は、生徒への評価の材料とせず、あくまでも生徒自身が立ち止まって自己を振り返り、目標を立てる手段として用いられている。

図1

  「この提案に対して、『年6回の面談週間を設けるのは厳しい』という反対意見もありました。しかし多くの先生は、これまで特に面談週間ではなくても、夏休み前や文理選択などの重要な時期に独自の判断で面談を行ってきたはずです。そうした教師の個々の取り組みを、学校全体で足並みをそろえて行えるように制度化したいと説明をして理解を得ました。提案が通った背景としては、何より教師が、面談で生徒が変わる様子をこれまで実際に体験してきたことが大きかったのです」(小関先生)
  実は今、静岡東高校では3年生については須藤壽忠校長までもが面談を行っている。「生徒の様子が把握でき、生徒との距離も近づく。非常によい取り組みだと思っています」と須藤校長は話す。まさに全教職員を巻き込んで、生徒の指導に取り組む態勢が、築かれつつあるわけだ。
  「すべての実践は、制度化した途端に形骸化する危険があります。私たちは面談の効果を体験的に知っていますが、異動で初めて本校に来た先生はそうではありません。新しく赴任してきた先生に、生徒との信頼関係の構築を大切にする指導の意味をどう継承し、新しい声をどう取り入れていくか。本校が本当の意味でこの取り組みを根付かせるためのポイントになると思います」(森山先生)


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