特集 「学校力」を考える(3)生徒が伸びる面談
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
  PAGE 12/18 前ページ  次ページ

事例2 三浦清武先生の例
PDCAサイクルを意識させる面談

 教職歴6年目の三浦清武先生は、面談では成績向上に焦点を絞って話す。「部活で頑張るという生徒でも、やはり成績が下がれば元気をなくすものです。部活動や生徒会活動で頑張らせるためにも、まずは成績面で結果を出せるように導いていくことが担任の務めだと思います」と語る。
  「単に接しやすいだけでの愛される担任は目指していない」というだけに、三浦先生の面談は、自分に甘えを許す姿勢に対しては、容赦なく厳しい。ただし、成績が少しでも上がれば褒めるのは納富先生と同じだ。
  三浦先生の面談の特徴は、模試のPDCAサイクルを意識して、生徒の成長を促す点にある。模試や考査の結果が返ってきたら、生徒にすべての答案を持参させて、「FINE SYSTEM」で過去の成績推移を見ながら、反省点や今後の課題について生徒自身に考えさせるのだ。
  まず、前回との比較を行い、どの教科でどのような対策が必要かを生徒自身に語らせる。次いで、答案を見ながら試験当日のことを振り返らせる。「生徒は課題を自分で認識している場合が案外多い」と三浦先生。答案を前にすれば「直前に文法を見直したのがよかった」「時間がなくて長文を途中までしか読めなかった」など的確に分析できるという。ただ、ここで大切なのは「点数」を意識させることだ。「問1から落としているから点数が悪いんだな。最低限これを押さえて、問2、3で部分点を取れば何点上がる?」「20点です」「20点上がったら偏差値はどれくらい上がる?」などと、小さな頑張りで結果が大きく変わってくることを自覚させる。
  面談を通して見えてきた課題や対策を具体的な行動につなげるため、面談終了後には「戦略シート」を記入させる(図2)。模試の1週間前までに「古典は80%以上取る」「リスニングCDを毎日聴く」など科目ごとの「数値目標」「具体的目標」「具体的戦略」を書かせる。模試終了後に「結果」「戦略の妥当性・次回の戦略」で振り返りをさせ、次回の面談に生かす。
  「人生の主役は自分自身ということを、生徒一人ひとりにしっかりと意識させることが大切。自分の意志で進路を切り開く意欲を高めさせたいですね」と三浦先生は抱負を語る。

▼クリックすると拡大します
図2

  PAGE 12/18 前ページ 次ページ