特集 「学校力」を考える(3)生徒が伸びる面談
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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教師間の情報共有と連携プレーを重視

 「必要なとき、必要な生徒に、適切な教師から、適切な声かけを行う」ためには、教師間でしっかりと生徒の情報を共有しておかなければならない。公的な情報共有の場としては、学年主任会議と学年部会がある。学年主任会議は各学期に1回、2時間ほどかけて行われる会議で、校長、教頭、進路主任、学年主任が集まって、学年の現状や取り組みの概要、学年全体の指導の方向性などを話し合う。学年部会は、毎週授業時間の1コマを使って設定し、特に課題を抱えている生徒を中心に生徒の情報を共有し合う。
  しかし、砺波高校が最も重視しているのは、むしろ職員室などで交わされる「日常の会話」だ。進路指導部長の北嶋秀也先生は職員室での様子を次のように話す。
  「職員室で、ある生徒についての話題を出したとします。すると、それに教科担当や部活動の顧問、他学年の先生までもが加わって、その生徒の状況についての情報を出し合い、自然に対策が立てられるのです」
  加えて、教師が生徒に声をかける前に、「○○の方向でアドバイスしたいがどうだろう」というように、事前にクラス担任の確認を取ることも多い。一教師の感覚だけで気軽に声をかけてしまうと、クラス担任の指導の方向性と違っていた場合、生徒を混乱させてしまうからだ。例えば、模試の成績が下がった生徒に対して、成績票返却時の放課後にクラス担任が励まし、今後の対策を一緒に考える。それに歩調を合わせて、教科担当が授業後に苦手分野の克服法をアドバイスする。そうして、生徒が頑張り始めたころを見計らって部活動の顧問からも練習後にフォローの一言をかけるといった具合である。すべての教師が同じベクトルで指導していくことを大切にしているのである。
  仮に、ほかの教師に相談できず、1人で抱え込むタイプのクラス担任がいたとしても、学年主任が率先して声をかけて一緒に対策を練るため、クラス担任が孤立することはない。また、不登校など問題の大きい生徒の場合は、学年主任や副担任、養護教諭などが連携してサポートする。クラス担任の負担が増えて、ほかの生徒に対する面談がおろそかにならないようにするための配慮だ。
  「教師の意識は、特別に成績の良い生徒、あるいは大きな問題を抱えている生徒に集中してしまいがちです。しかし、だからといって成績が特別良くも悪くもない、大多数の『普通の生徒たち』を放っておくわけにはいきません。そんな生徒ほど、内心では先生から声をかけてもらいたがっているのです。だからこそ、生徒は授業を受け持っていない先生に『頑張っているな』と一声かけられるだけで、『自分も注目されている1人なんだ』と心強く感じ、やる気を高めていくのだと思います」(北嶋先生)
  砺波高校では進路講演会や企業訪問などさまざまな進路行事を設けているが、進路意識調査では、かなりの数の生徒が「進路意識を深めた取り組み」として「教師との面談」を挙げるという。教師たちの思いは、生徒の心に確実に響いているようだ。


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