特集 「学校力」を考える(3)生徒が伸びる面談
定金浩一

▲兵庫県立西宮香風高校
臨床心理士

定金浩一

Sadakane Kouichi

教職歴25年目。西宮香風高校に赴任して3年目。教務部長兼ガイダンス課長。「社会できちんと生活できる生徒を育てたい」

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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【Column】


解決志向型面談のプロセスとテクニック

解決志向型面談で前向きな言葉を引き出しやる気を高める

面談では生徒自らが問題点を自覚し、解決法を探っていくことが大切だ。
兵庫県立西宮香風高校の教師で、臨床心理士の資格を持つ定金浩一先生に、
心理学的アプローチによる面談の進め方と技法について解説してもらった。

 面談の主目的は生徒を良い方向へ導くことです。その有効な手段として「解決志向型面談」を紹介します。
  解決志向型の面談で最も重要なポイントは、教師が一方的に助言するのではなく、問題点や解決策を生徒自身に考えさせ、その実現に向けて教師が援助することです。原因の追求ではなく、未来に目を向けさせ、生徒の自発性に訴えながら解決に導くのです。生徒は内発的に動機付けられるため、強制されるよりもやる気が高まります。教師も生徒を「可能性がある」と見るようになり、どんな生徒にも良いところがあると確信が持てるため、精神的に楽になるというメリットもあります。

技法1 面談の進め方
簡単な問題解決で自信を持たせる

 具体的な面談の進め方は図1の通りです。導入部分では、雑談を通して緊張している生徒の心をほぐします。日頃生徒と接する担任の場合、それほど時間はかからないでしょう。進路主任のように生徒と接する機会が相対的に少ない教師の場合は、この段階をきちんと踏まえることで、次につながりやすくなります。
  次に、解決すべき問題点を明確にし、それを解決するための具体的な行動を決めます。問題点は一度に解決できませんから、まずは一つか二つ、比較的簡単に解決できそうな課題を見つけます。これまでの面談では、一つの原因を解決させることで、すべての問題を解決しようとしがちだったかもしれません。しかし、小さな問題でも、解決することで気持ちが少し晴れます。それがやる気につながり、ほかの問題にあえて触れなくても、考え方や行動全般が変わってくることもあるのです。
  例えば、志望大にはどうしても学力的に届きそうもないという場合。それ自体を深刻に考えるのではなく、まずは学習時間を1時間から1時間半に増やしたところ、成績がアップしたという話はよくあることです。
  もちろん、こうした指導は多くの学校で行われていますが、その考え方が、ほかのさまざまな場面にも応用できるということは、案外認識されていません。身近な問題をクリアしていくことで、より大きな問題を解決できることもあるということを、常に意識することが大切です。

図1

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