未来をつくる大学の研究室 分子生物学・アポトーシス
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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なぜこの研究を
体の中で起きているドラマと役者の活躍を探りたい

―お二人とも学部時代は、今とは違う勉強をしていたそうですね。

 

佐々木 僕は工学部で材料工学を勉強していました。それが、大学3年生のときに「生化学」の授業を受けて、生命の基本的な機構がどうなっているかを学んだのです。材料は人間によって作られますが、生命の世界は人間が手を出したわけではないのに、とても複雑で、しかも整然としたシステムが成り立っています。高校時代に「生物」を選択していなかった僕は、「こんな世界があるんだ」とショックを受けて、それで大学院では分子生物学を専攻することにしました。

 

長坂 僕は薬学部出身です。分子生物学を選んだのは、「なぞが多い学問」だから。うちの研究室の研究テーマであるアポトーシスもそうですが、細胞や分子のレベルでは、なぜそういうことが起きているのかうまく説明できないことが、まだまだたくさんあるんです。


佐々木 体の中では、アポトーシスで死んだ細胞をマクロファージが食べるというように、いろいろなドラマが起きています。そのドラマのストーリーと、どんな役者が活躍しているかを探ることができるのが、分子生物学の面白いところですね。

高校生へのメッセージ
研究に必要なのは、感受性と表現力
長坂 高校時代、僕は薬学部志望だったので、理科は化学1科目だけを選択して勉強していました。でも入試科目だけではなく、生物や物理もきちんと勉強しておけばよかったと思います。大学では物理、化学、生物すべての知識がトータルで必要とされます。大変だとは思うけれど、勉強内容をあまり絞り込まないでほしいですね。
佐々木 僕は、研究者は感受性と表現力が大事だと思います。論文を読んだり、だれかの話を聞いたりしているとき、普通の人が受け流すようなことでも「あれっ?」と疑問を持つ。そこから新しい発見や研究テーマが見つかります。そして自分の考えを周囲に適切に伝えるには、表現力が必要です。僕もこの2つを磨いていきたいです。

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