兵庫県立姫路東高校が単位制への移行を決めたのは、2000年の秋。きっかけは県の入試改革だ。05年度から姫路東高校のある姫路福崎学区において、複数志願制の導入が決定した。学区内の高校を2校まで志願できる制度で、第1志望には50点が加算される。姫路東高校は、同じ学区の姫路西高校と競り合ってきたこともあり、「座して同制度の導入を待てば、上位層をさらわれてしまうのではないかという危惧があった」と総務部長の鶴田尚男先生は振り返る。
そんな折、兵庫県教育委員会から単位制導入の提案を受ける。当時、兵庫県は単位制高校を各学区1校設置する施策を進めており、姫路福崎学区では姫路東高校に白羽の矢が立ったのだ。単位制高校は全県一区で、推薦入試で定員の半数まで募集できることになっていた。学区を越えて成績優秀者を募集できる魅力があった。
だが、何よりも大きかったのは、単位制の導入が飛躍のきっかけになるのではないかという期待感だった。学校を変えるチャンスに――。こうして、新たな学校像を模索する教師たちの挑戦が始まった。
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