姫路東高校では01年度4月、教務副部長や各学年の担任など5名による新規構想委員会を設置し、検討に入った。全国の単位制高校を数十校視察し、週1回2時間の会議で、カリキュラムや授業法などを研究した。当時のメンバーで単位制推進委員会委員長の常陰哲也先生は次のように述べる。
「本校の生徒の多くは国公立大志望者のため、5教科7科目を偏りなく学ばせる必要があります。一方、本校の教育目標『生きる力の育成』を達成するには、受験だけにとらわれず幅広い知識を身に付けさせることも重要です。カリキュラムは、受験に必要な学力を満遍なく身に付けさせ、かつ興味・関心に合わせた選択科目を受講できるよう配慮しました」
授業と授業の間に空き時間ができないよう時間割も工夫し、01年度中にはほぼ概要が固まった。
学内の準備が順調に進む一方、学外では問題が起きていた。姫路東高校の単位制導入という情報が地域に伝わると、さまざまな風評が飛び交い始めたのだ。進路指導部長の有本清敏先生は、当時を次のように振り返る。
「単位制の高校というと、空き時間に校内を生徒がぶらついていると思う保護者が多くいました。また、総合学科や定時制と混同されて『姫路東高校は進学校ではなくなる』といった噂まで流れました。単位制という言葉が一人歩きし、本校が目指す姿とは異なるイメージが中学校や保護者の間に広まりつつあったのです」
|