指導変革の軌跡 兵庫県立姫路東高校「単位制高校」
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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OBも巻き込んで活発な広報活動を展開

 ただ生徒が来るのを待っているだけではだめだ――。危機感を抱いた姫路東高校は積極的な広報活動に乗り出す。02年度4月に新規構想委員会から独立した単位制企画部を中心に、5~6月は地域の全中学校を訪問。8月には市民会館を借りて保護者向けの説明会を開いた。10~11月には学区外の中学校へ足を運んだ。10名の教師が手分けをして訪問した中学校は、2か月で実に100校に上った。
  説明会では、「将来の希望を持っている生徒には単位制は最適」「医学部志望の生徒には理科3科目選択も可能」といったメリットをアピール。その一方で「どんな科目でも自由に選択できるわけではない」ことを強調し、国公立大に合格できる力を身に付けさせることに主眼を置いた単位制であることをしっかりと伝えた。
  そんな教師たちの姿を見て、卒業生たちも立ち上がった。姫路東高校OBでもある鶴田先生は「時代が変わる中で、過去にこだわることはないというのが本校OBのスタンス。今回の単位制導入も、戦後に女学校から現在の姫路東高校に移行したとき以来の第二の変革期と捉え、同窓会を挙げて積極的に支援することにしました」と述べる。同窓会主導で年10回以上新聞広告に説明会や入試日程などの告知を出すと共に、地元中学校のOB教師に支援を要請するなど、幅広いネットワークを生かした支援活動を展開していった。
  こうした努力が実り、03年2月の推薦入試では140名の定員に対して437名の志願者が集まった。予想を大幅に超える結果に教師たちは歓喜に沸いたが、喜びに浸っている余裕はなかった。真の意味で地域の信頼を得られるかどうかは、単位制1期生の実績にかかっていたからだ。


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