指導変革の軌跡 埼玉県川口市立 県陽高校「進路指導」
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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「進路カルテ」で学年団と進路指導部の意思疎通を図る

 こうした背景を受け、2004年度、県陽高校は3年間を見通した進路指導体制を構築し、全学年で取り入れた。「生徒全員の進路実現」を目標に、進路ガイダンスや面談など、各学年の進路行事の内容と時期を「進路の手引き」(写真)の中で明確に定めた。

写真
写真 教師間で共有すべき方針や年間計画、生徒向けの進学・就職情報が集約されているほか、進路カルテや模擬面接記録用紙、夏季進路対策講座の出席表、生活の記録など進路指導に必要なツール一式が1冊にまとめられている。

  指導の軸は「進路カルテ」(図1)だ。希望進路や評定平均値、欠席日数、委員会や部活動の実績、「進路マップ」の学力検査の学習到達ゾーンなど生徒自身の記入欄と、希望進路に対する担任と進路指導部の所見、全面談を記録する欄を設けた。「担任と進路指導部との連絡帳」となるよう、学年ごとにA4判1枚のカードに簡潔にまとめた。
  「進路指導部では、必ずしもすべての生徒を把握できるわけではありません。一目で生徒の希望や指導の流れがわかるものがあれば、学年団と進路指導部で統一性のある指導ができるだろうと考えました」(嶋津先生)

図1

  生徒が進路カルテを提出するのは、1年次が1回、2年次が2回、3年次は4回となっている(図2)。1年次は、希望進路を第2希望まで具体的に書くことが目標だ。この時点で目標を絞り込める生徒は少なく、芸能人や漫画家といった志望を記入する生徒もいる。

図2

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