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生徒と進路指導部が話す機会を意図的に設ける
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小論文指導や面接指導など、推薦入試や就職試験に必要な指導も全学体制で取り組む。3年次に行う模擬面接は、進学・就職希望を問わず、生徒1人当たり最低10回行う。生徒は「進路の手引き」の面接質問例(進学用24問、就職用30問)に記入し、担任のチェックを受ける。その後、各自で教師にアポを取って練習する。HR担当者、3学年主任、進路指導主事、教頭、校長の5名は必須で、残り5回は生徒が自由に教師を選ぶ。
夏季進路対策講座では、夏季休業中のほとんど毎日、就職・推薦入試のための一般教養や小論文、時事問題研究のほか、数学や英語など教科の補講的な内容等15講座程を開講している。進学希望者は最低15回の受講が必須だ。当日出席した生徒は、専用の出席表に担当教師から印鑑をもらい、それを進路指導室に持参して報告する。こうした機会を意図的に設けることで「進路カルテはしっかり書いているか」「模擬面接は進んでいるか」といった会話もスムーズにできるようになり、生徒と進路指導部とのコミュニケーションも進んでいるという。
夏季進路対策講座の出席表と模擬面接の記録用紙は、第4回の進路カルテと一緒に9月1日を提出期限とし、未提出の生徒は推薦入試対象から外している。「今の生徒は教師の指示に素直に取り組みます。生徒の気質に応じて、ときにはこうした強制も必要です」と嶋津先生。生徒の気質を読み取り、適した指導を心がけているのだ。
「生徒全員の進路実現」を目指し、3年間の進路指導システムを構築した川口市立県陽高校。改革の成果は、私立大の推薦入試の基準が緩やかになったことも追い風となり、進学実績の飛躍的上昇となって結実した(図3)。かつて卒業生の15%がフリーターとなっていたが、06年度はわずか1名と激減した。
今後の課題は、構築した指導を根付かせ、県陽高校の文化にすることだ。
「いくらシステムを構築しても、それを動かすのは私たち教師です。現状では、今の進路指導部のメンバーが主導する場面が少なくありません。だれが進路担当でも、本校の方針を徹底できるように定着させていくことが重要になるでしょう」(嶋津先生) |
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