中学生は1日何時間、家で机に向かっているのだろうか。図1を見ると、中1生、中2生の約半数は1日30分以下しか机に向かっていない。宿題に取り組む時間も含まれていることを考えると、この学習時間は少ないと言わざるをえないだろう。ただし、中3生では、学習時間が増加している様子が見られる。これは、高校受験という目標ができるために、学習する生徒が増加した結果だと推測できる。
一方、図2を見ると、全国平均の通塾率は50%近い。塾に通う目的としては、「高校を受験するため」「学校の勉強がわかるようになるため」が多く、中学生が学校以外では塾の指導に頼っている様子がうかがえる。
『VIEW21中学版』教師モニターアンケートからも、生徒の学習習慣は、多くの中学校の課題となっていることがわかった。「強制的にでも、まずは机に毎日向かう習慣をつけなければならない」「塾主体の学習となっている生徒が多く、自主的な取り組みが少ない」などの声も挙がっている。
その対策としては、宿題の工夫を中心に行っている様子がうかがえた。「宿題は、期間を広くせず、こまめに出し、必ず点検し即日返却するようにしている」「ほぼ毎日いずれかの教科から宿題を出せるよう、職員室に宿題ボードを設置し、宿題の期限、内容を教師が確認できるようにしている」といった中学校もあった。
また、教師が最も課題と感じているのは、成績下位層への対策のようだ(図3)。学習意欲の低さを深刻に感じており、「何を勉強すればよいのかわかっていない」「学習習慣以前に、基本的な生活習慣が身に付いていない」「学力の二極化が激しく、放っておくと授業の進行が困難」といった声もあった。
そのため、成績下位層の生徒に対象を絞って対策をしている中学校も少なくない。具体的には、「成績下位層には、学力に合った宿題を出す」「放課後や休み時間に教師が個別指導の時間を持つ」といった個別の対応だ。手はかかるが、一人ひとりに合わせた対応をしなければ成績下位層の生徒には、学習習慣が定着しないというのが現状のようだ。
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