――近年、国際貢献に携わりたいという学生が増えていますが、学生にはどのようなアドバイスをされていますか?
現場で求められるのは組織運営そのものですし、実社会での経験を積まないとわからないことも多い。また、国連も結局は官僚組織ですから、きれいごとだけで物事が進むわけではありません。
私は、大学卒業後すぐに国際援助の分野で働きたいという学生に対しては、一度は社会で働くことを勧めています。大学を卒業してすぐに国際舞台に足を踏み入れるのは、かえって自分を潰してしまう危険があると話をするんです。多様な価値観を持つ人々とぶつかりながら、組織として束ねていくという訓練は、日本にいても十分に可能だと思います。現実の社会で揉(も)まれて、厳しい上司の下で働く忍耐力をつけてからでも遅くはない。また、若者らしく趣味や恋愛などに情熱を注ぐことも大切です。
国際援助に携わるということは、さまざまな人たちの人生を左右することにつながります。自分の人生について深く考えると共に、他人の生き方を尊重できる心を養うためにも、まずは日本で多くの人生経験を積むことが大切だと思います。
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