真のリーダー育成を目指して 人それぞれリーダーシップのスタイルがある
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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ビジュアルを多用しビジョンを明確に伝える

――リーダーシップの取り方は千差万別ということですね。

 

  もう一つ、組織を引っ張る上で気をつけていた点は、ビジョンを示すことです。東ティモールから帰国後、政府の依頼を受けて9・11後のアフガニスタンで、軍閥勢力の武装解除を指揮しました。現地の武装勢力は10万人以上ともいわれており、それぞれのグループを把握するだけでも気が遠くなるような作業です。更にこれらのグループから銃や大砲、戦車などの武器を回収し、部隊を解散させなくてはならない。かたや、アメリカが大義の不明確な戦争を続けている中で、いつ終わるともしれない和平活動を続けるのは非常に悲壮感の漂うものです。
  そんなとき、組織の志気を高め一つの方向に向けていくためには、ポジティブなビジョンを提示することが重要です。「やらなくてはならない仕事だからやる」というネガティブな動機ではなく、そのミッションを達成することがどれほど世の中の役に立つことなのかという前向きなビジョンを示すのです。

――ビジョンを示す際、注意すべき点はありますか。

 

  ビジョンやそれを達成するためのプロセスを、ビジュアルなどを多用して皆が納得できる形で伝えることです。ポイントを絞って書き出す、概念を図式化してフローチャートにするといった方法です。目的やプロセスを明確にして伝えることで、集団を一つの方向に導きやすくなるのです。
  言葉というのはうまく伝わらないときもあるし、どんなに語り尽くしても誤解が生じることがある。それを図で示したり、ポイントを箇条書きにしたりすることは、言語や文化の異なる多くの人たちに伝える上でも、自分で考えをまとめる上でも大切だと思います。単なる饒(じょう)舌は、逆に事態を複雑化させることも多く、場合によってはチームワークを乱すこともあるのです。もっとも、私は英語がそれほど上手ではなかったので、ビジュアル化は言葉を補う意味もあったのですが。


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