中学校の現場から 授業スタイル

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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指導内容に応じた多様な授業スタイル

 単元学習の基本的な進め方は図1の通りだ。まずクラス一斉のガイダンスを行い、単元の趣旨や目標を示してから、少人数授業に入る。単元終了後には単元テストを行い、学習到達度に応じて、2時間程度の希望コース別授業、もしくはクラス一斉授業で基礎・基本の定着を図る。習熟度別の授業を前提とはしないが、結果的についた習熟度の差にはきちんと対応している。

 授業は、グループ学習を中心に進める場合が多い。例えば数学では、まず個人で文章題を解き、その後4、5名のグループになって、より良い解法について意見を述べ合う。次いでグループごとに発表し、最後にそれぞれの生徒が「振り返りカード」で自己評価をし、授業内容の定着を確認する。最近では、一斉形式とグループ学習を使い分ける場面が増えている。

 「学習する内容によっては、クラス一斉の講義形式の方がよい場合があります。一方、生徒同士の学び合いを促すには、グループに分かれて課題に取り組む方が効果的です。内容に応じてグループの構成を変えられるのも、少人数授業のメリットです」(岩田先生)

 例えば、難しい文章題に取り組む前には、教師が生徒全員の前で例題を解いてコツを理解させる。一方、定義や定理を十分理解していないためにグループの活動が停滞している場合には、すぐ生徒を黒板の前に集めて説明することもある。教務主任の鈴木努先生は「1クラス一斉の授業では指導が画一的でしたが、少人数で行うことで、場面に応じてフットワークよく授業スタイルを変えることができるようになりました」と話す。

 ただ、グループ学習を生徒に委ねすぎると、活動が停滞したり、できる生徒だけで課題を解決してしまったりするおそれがある。そのため、グループ学習を成功させるには、教師のコーディネート力が重要になると、岩田先生は指摘する。

 「少人数のグループ学習であっても、1人の教師が多いときで四つのグループを同時に見なくてはなりません。議論が止まったとき、その原因を把握しておかなければ、メンバー全員が納得して解法を導き出すところまで進めませんし、数学が得意な生徒だけが突出してしまえば、苦手な生徒はかえって数学への興味を失いかねません。グループが多くなればなるほど、教師はアンテナを高くして、生徒の動きをキャッチする必要があります」

 今後の課題の一つは、生徒が自主的に学習に取り組む意識を高めることだと、奥村英俊校長は考えている。

 「06年度からは、生徒同士で『どのような授業にしたいのか』について話し合い、クラスの学習目標を立てることにしました。授業は教師だけでつくるものではありません。生徒自らつくり上げていくものだということを意識させることで、少人数授業の効果はより高まると思っています」

図

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